2019 Fiscal Year Research-status Report
国家内部の相互コントロールによるグローバル法形成―その条件の究明
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18K01280
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
福島 涼史 長崎県立大学, 国際社会学部, 准教授 (70581221)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 法治国 / 法治主義 / コントロール / グローバル法 / 法の支配 / 三権分立 |
Outline of Annual Research Achievements |
理論面では、2019年10月、「国際法による法治国の基礎づけ―憲法の断絶と乖離をつなぐ一元論―国際法による法治国の基礎づけ」という報告を行った。これは、コントロール論が成立するための、理論的な条件を提示・整備しようとしたもので、この研究にとって、ある意味では中間的到達点であり、ある意味ではさらなる発展の土台である。 調査面では、2020年1月、台湾(台北市)の裁判所を訪れ、司法院院長・許宗力氏に対するインタビューに参加した。裁判所の積極的姿勢の社会的背景、憲法的根拠、法内在的なものにとどまるための仕組みについて知見を得た。司法院の審議室の見学も許され、PCのモニタが各席の前に配置された円卓の斬新さが、新型コロナウィルス対策でも注目された台湾の進取の姿勢を象徴していた。 台湾における調査は国内法分野を主眼としたものであったが、コントロールのグローバル化を考える上で、貴重な示唆もえた。というのも、台湾は中国との関係による制約のために、主要な人権条約のメンバーになれていない。それにもかかわらず、台湾は自主的に自らの制度を、技術的には「拘束力のない」人権条約に照らして評価し、より即応するものにしようしている。これは、条約の狭い意味の拘束力によらないコントロールを構想する本研究のモデルとなりえるもので、その実態を垣間見ることができた意義は大きい。 後述のとおり、新型コロナウィルス感染症の蔓延のため、他の研究者との交流に大きな制約があった分、個人で進めることのできる先行研究の精査や理論構築の模索に力を注いだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
すべての申請者に共通していると思われるが、新型コロナウィルス感染症の蔓延のために、海外との行き来、やりとりが大幅に制約された。関西、関東で開催予定であった、海外からの講師を招聘しての講演会もほとんどが中止となった。それのみならず、国内の研究者による講演会、研究会、学会も順延どころか中止になった。
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Strategy for Future Research Activity |
上のような状況であるので、個人レヴェルで完全に補完できるものではないが、2020年度に可能なかぎり、追いつけるように活発に研究活動を展開するつもりである。 ただし、前半は引き続き、海外との行き来は難しいと予想されるので、オンライン(ビデオ通話等)でのインタビュー・調査など今までは行ったことのない工夫を図りたい。 幸い、特定の研究会はオンラインで試行的に実施されており、これに倣って、対面の研究活動の補完を実施したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の蔓延に前後して各種の研究活動に大きな制約が生じ、予算を支出する研究活動が十分に行えなかった。 2020年度後半にこれを集中的に挽回できるように、現段階で、訪問の予約・アレンジメントを綿密に行いたい。
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