2022 Fiscal Year Annual Research Report
Effectiveness of International Judicial Procedures in the Current Internatioanl Community: Coexistence and Conflicts of Plural International Judicial Procedures and the Compulsory Jurisdiction
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18K01283
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河野 真理子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90234096)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 義務的管轄権 / 国際司法裁判所 / 国際海洋法裁判所 / 勧告的意見 / 争訟事件手続 / 人民自決の権利 / 対世的義務 / 条約全当事国に対する当事国間対世的義務 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、2021年度までの研究を継続し、義務的管轄権を設けている国際裁判制度の相互関係についての研究を行った。従来は国際司法裁判所(ICJ)と国連海洋法条約第15部の下で設けられた義務的裁判制度(仲裁と国際海洋法裁判所(ITLOS))の争訟手続に着目した研究を行っていたが、2022年度はICJの勧告的意見制度にも研究対象を広げた。従来は勧告的意見制度は、主として国際組織に関係する法律問題についての意見が求められるものであったが、国連総会からの勧告的意見の要請に応えて、ICJが2019年に出した「1965年のチャゴス諸島のモーリシャスからの分離の法的効果事件」の勧告的意見は、すでにICJが対世的義務及び権利であることを認めた人民自決の権利に関する内容となっている。「訴追又は引渡しの義務に関する問題事件」において、条約全当事国に対する当事国間対世的義務の履行に関して、いずれの条約当事国も当事者適格が認められて以降、条約全当事国によって構成される共同体全体の共通利益を構築していると考えられる条約に関する紛争での紛争主題や当事者適格に関する議論が変化してきているといえる。こうした動向は一定の共同体の共通利益を保護することへの国際社会(国際共同体)の関心の高まりを反映するものであり、争訟事件手続だけでなく、勧告的意見手続においてもそのような動向が反映されていると考えている。こうした方向性は、海面上昇に関する問題についてITLOSの勧告的意見が要請されたことにも反映されており、さらに視野を広げた研究を継続することの必要性を感じている。
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Research Products
(11 results)