2019 Fiscal Year Research-status Report
国際人道法の履行確保における国家責任の現代的意義―先端科学技術が及ぼす影響―
Project/Area Number |
18K01289
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
黒崎 将広 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (10545859)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国際法 / 国際人道法 / 武力紛争法 / 国家責任 / 科学技術 / サイバー / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、武力紛争に適用される国際人道法(武力紛争法)の履行確保において果たす国家責任の現代的役割および関係規則の解釈適用上の問題が何であるかを、とりわけ個人責任では果たせない独自の役割に留意しつつ解明することを目的とする。その際には、この問題が顕著に現れる、サイバー技術や自律兵器システム等の先端科学技術を用いた敵対行為に焦点を当てる。 本年度の研究実績としては、(1)人工知能の軍事化規制における国家、企業、および個人の責任関係に関する国際法上の諸問題、ならびに(2)サイバー空間における国家の越境的活動の国家責任を中心とする国際法上の諸問題、に大別することができる。 (1)については、今年度、米国ニューヨーク国連本部で国連軍縮部その他主催の人工知能の軍事化に関する専門家国際会議、および英国エディンバラ大学ロースクールにおいて同大学主催の人工知能と法の支配に関する学術会議で意見発表と交換を行った。その成果の一部は、国際法に関する日本語書籍の一章を構成する「兵器システムの自律化と『不断の注意』義務―兵器の合法性審査と刑事責任の可能性―」という論考として、今年度に公刊予定である。 (2)については、マレーシア・クアラルンプールで行われたアジア太平洋安全保障会議のサイバー空間と国際法に関する国際会議、および東京市ヶ谷で行われたサイバーセキュリティ法制学会の研究会合で意見発表と交換を行った。その成果の一部は、「サイバー空間における主権――その論争が意味するもの」という題目で日本語書籍(森肇志=岩月直樹編『サブテクスト国際法』(日本評論社、2020年))の一章として今年の3月にすでに公刊された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、当初より想定された、研究調査とその成果報告・意見交換といった実施計画をすべて達成することができた。このため、本研究プロジェクトは、おおむね順調に進展していると判断した次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に参加した国際・国内会議での報告の出版を目指して執筆活動を継続しつつ、さらなる研究調査を進めたい。
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Causes of Carryover |
本年度は国際会議の主催者より全額費用負担での招待を幸いにして受けることができたため、次年度以降に必要となる研究調査のための費用に充てるべく、本年度の使用を控えた次第である。
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Research Products
(5 results)