2020 Fiscal Year Research-status Report
国際人道法の履行確保における国家責任の現代的意義―先端科学技術が及ぼす影響―
Project/Area Number |
18K01289
|
Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
黒崎 将広 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (10545859)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 国際法 / 武力紛争法 / 国家責任 / アカウンタビリティ / 科学技術 / サイバー / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、武力紛争に適用される国際人道法(武力紛争法)の履行確保において果たす国家責任の現代的役割および関係規則の解釈適用上の問題が何であるかを、とりわけ個人責任では果たせない独自の役割に留意しつつ解明することを目的とする。その際には、この問題が顕著に現れる、サイバー技術や自律兵器システム等の先端科学技術を用いた敵対行為に焦点を当てる。
本年度の研究実績としては、昨年度に引き続き、様々なオンライン会議で欧米の著名な国際法学者、現役外交国防担当官僚、退役軍人、そして人権人道NGOの専門家たちと意見交換を行う有意義な機会を得ただけでなく、国連軍縮研究所(UNIDIR: United Nations Institute for Disarmament Research)から各国のオフェンシブ・サイバー能力に関する研究プロジェクトへの参加依頼を受けて、The Projection of Cyber Power in the Indo-Pacific: Contrasting Doctrines and Capabilities of Australia and Japan for the Rule-Based International Order"という論文を本年度中に執筆し、査読を経て2021年度中の公刊が決まった。同じく2020年度中に「越境型武力紛争時代の免責特権論―非国家武装組織の原初的地位は克服可能か―」『法律時報』93巻7号(通巻1165号)(2021年6月)も脱稿し、さらに「サイバー空間における保健医療・公衆衛生分野の保護と国際法規範―デジタル情報通信技術の空間性と領域性原理の機能的再定式化―」と題した『国際法外交雑誌』第120巻1・2合併号(2021年)に公刊予定の論文も執筆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍によりオンラインのビデオ会議による参加の機会が増えたことで、対面式ではないが従来よりも様々な意見交換を欧米の専門家たちと行うことが可能となり、これを様々な研究成果に反映させることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで通り、継続的に研究成果を英語と日本語の両方で発表できるよう努める。
|
Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍で資料収集および意見交換のための海外出張ができなかったことが大きな理由である。次年度に海外出張が可能となることを期待して、必要となる研究調査のための費用に充てることとしたい。
|