2018 Fiscal Year Research-status Report
Research for the Policy of Legislation in Labor Law
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18K01305
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
緒方 桂子 南山大学, 法学部, 教授 (70335834)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非正規労働者の均等待遇 / 労働時間法制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、①非正規労働者に対する均等・均衡処遇と法のあり方、及び、②現代的な労働時間の法政策のあり方という大きな2つのテーマを設定して取り組んだ。いずれも、2018年度に日本において具体的な法改正が行われた事柄であり、本研究が対象としている労働立法政策のあり方について検討を深めて行くうえで重要なテーマである。 まず、①に関しては、具体的な研究成果として以下のものがある。すなわち、緒方桂子「労働契約法二〇条の『不合理』性の立証とその判断の方法」、単著、2018年5月、労働法律旬報No.1912、旬報社、pp.25-41、緒方桂子「「働き方改革」と非正規労働法制の展望」、単著、2018年7月、法学セミナー762号、日本評論社、pp.28-32、緒方桂子「有期契約労働者の公正処遇をめぐる法解釈の現状と課題」、単著、2018年12月、季刊労働法263号、労働開発研究所、pp2-12である。また、2018年8月には、非正規労働者の均等・均衡待遇を定めた労契法20条に関し、研究者と法曹実務家である弁護士とでセミナーを開催し、同条に関し、より深い検討を行った。 次に、②に関しては、2018年11月に、ドイツの社会経済研究所の元所長及び研究員を招聘し、「日独における現代的な労働時間法制の構想」と題したフォーラムを開催した。そのなかで、日独において、サービス産業の増加やデジタル化といった産業構造の変化、雇用調整の必要性を念頭に置いた働き方の柔軟化への要請、他方、労働者のライフスタイルの多様化への対応や、少子高齢社会のもとで育児や介護を中心とする家族生活と仕事との両立が不可避の課題となっているという状況が共通しているものの、それへの対応に大きな違いがあることが浮き彫りになった。その成果は、2019年度早々に公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。しかし、2019年8月末から、ドイツ及び韓国に留学することから(1年半の予定)、今後、研究計画に一定の変更を加えたり、成果の公表の点で遅れが出てくることも見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に設定した、非正規労働法制及び労働時間法制という2つのテーマは、労働立法政策の研究にとって重要な意義を有することから、本研究の中心的なテーマとして継続して取り組む。 2019年8月末から2021年2月まで、ベルリン自由大学(ドイツ)及び梨花女子大学(韓国)に留学することを予定しており、その機会を活かして、より実態を反映させた研究を行うこととする。もっとも、留学時の研究の進展や研究成果の公表の点に鑑みて、2020年度においては、研究計画を申請時のものから、よりよい成果をもたらすことのできる内容に変更することも考えている。
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Research Products
(8 results)