2021 Fiscal Year Research-status Report

刑事手続における司法面接の有効かつ適正な利用を目的とした制度の構想

Research Project

Project/Area Number	18K01308
Research Institution	Sophia University
Principal Investigator	岩下雅充上智大学, 法学研究科, 教授 (00396615)
Project Period (FY)	2018-04-01 – 2023-03-31
Keywords	司法面接 / 児童虐待 / 証人保護 / 被害者保護 / 協同面接 / 代表者面接
Outline of Annual Research Achievements	令和３年度においては、新型コロナウイルス感染症にかかる社会状況が前年度から好転せずに続いているという厳しい環境のもとで、前年度と同じように研究会・学会の実施・参加に制約があったのとともに、前年度と比べて資料の収集が極めて不十分になったことなどから、研究計画を変更して、研究期間を令和４年度までに延長するものと決定した。資料の収集については、ドイツやイギリスの文献を引き続いて重要な資料とする研究に取り組んでいるところ、ドイツで前年度・本年度に刊行される予定であった複数のものが刊行の延期となって、いずれも重要な文献であったことから、研究計画の変更を余儀ないものとなった。また、研究会・学会の実施・参加に関しても、前年度に引き続いて、成果の発表や知見の獲得のための機会が不十分であった。このような状況にあって、令和３年度においても、これまでに得た資料や知見をもとに、本研究の目的や研究実施計画に沿った研究・調査をできる限りおこなった。すなわち、日本の捜査機関が近時に司法面接の実施に積極的に関与するようになったのにともなって、関与をめぐる状況の変化や課題が紹介・検討されていることから、これらの紹介・検討をもとに、具体的な問題関心や課題の解決に向けての着眼点などを見いだすことができた。また、この数年のうちにおおやけにされた文献の網羅的な把握にもつとめて、関連する裁判例も含めたリストのとりまとめもおこなった。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 令和３年度においては、【研究実績の概要】において示したとおりの状況であったことから、とくに比較法の研究に関して、予期せずして、各国の制度に対する分析・考察が当初の予定に沿った進展を遂げるまでにいたらなかった。もっとも、遅れて刊行された文献から得ている知見をこれまでの調査・分析の結果に盛り込んで、令和４年度のうちにその成果を紀要などにおいて公表することが見込みとして立っている。また、国内法に関しては、【研究実績の概要】において示したような研究・調査に取り組んで、社会福祉法人「子どもの虹情報研修センター」の委嘱を受けた研究の成果に反映させたのとともに、この成果を基礎とした分析・考察の展望も描けている（なお、委嘱を受けた研究の成果は、『虐待の援助法に関する文献研究第１０報』として、令和４年度の初頭に公表される）。これらの状況から、研究期間を延長して本研究に取り組む令和４年度のうちに、進捗度をリカバリーして、研究期間の終了までに研究実施計画に沿った研究を果たすことが見込まれる。
Strategy for Future Research Activity	研究期間を延長して本研究に取り組む令和４年度においては、【現在までの進捗状況】において示した見込みのとおりに研究を果たすために、令和２年度までの研究・調査と本年度の研究・調査を継続して、諸外国の制度・運用のありようにかかる研究の内容であって公表にいたっていない残余のものをまとめ上げたうえで公表するのとともに、日本の法状況と議論にかかる知見から、諸外国の制度・運用に見いだせる考え方やアイデアが日本の刑事司法制度にどこまで導入できるのかという点についての解明をおこなう。すなわち、研究期間を延長した令和４年度に、一連の研究を補充・拡張してとりまとめるものとする（本研究の成果をとりまとめるのに要する調査・研究の内容については、令和２年度の研究実施状況報告書を参照）。
Causes of Carryover	本年度すなわち令和３年度の研究を遂行するためになされた支出は、所属機関から研究のために交付された資金によってまかなえた。これは、刊行の遅れから購入できなかった文献が多数にわたることや、研究会・学会の実施・参加にかかる支出がほとんど発生しなかったという事情による（事情の詳細については、【研究実績の概要】を参照）。そして、本年度の研究に関しては、補助事業期間の延長を申請して、その承認を受けた。本年度に交付された助成金については、次年度である令和４年度に全額を繰り越した。次年度の支出については、本年度の研究のために立てられていた使用計画をおおむねそのままに実行するものとする。