2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Death Penalty and the Innocent Cases in China
Project/Area Number |
18K01311
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
王 雲海 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (30240568)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 死刑 / 中国の死刑政策 / 死刑冤罪 / 中国の死刑冤罪 / 冤罪の発見 / 死刑冤罪の発見 / 冤罪の救済 / 死刑冤罪の救済 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の最終年度であるR5年度では、それまでコロナの流行で実施できなかった現地での調査などを精力的に実施し、関係の研究者や弁護士などの実務家とも積極的に接触して、中国における死刑の法制度、その政策、死刑判決及び死刑執行の傾向、死刑冤罪の発見、救済の状況について、公開された最新の政府文献、学者の論文、実務家とのインタビュウーなどを通じて、整理、把握することができた。これにより、本研究の全体像・全体成果が明白的で確実的なものとなってきた。 まず、中国の死刑政策は、本研究実施の初年度の2018年から2021年まで2月までは、従来の「存置、制限、廃止」というものが堅持されて、一定の程度の死刑適用の制限を図っていたが、しかし、2021年3月から「死刑を適用すべき時には必ず適用する」という新たな方針が示されるようになり、今日までに至っている。 次に、「死刑を適用すべき時には必ず適用する」とされる事件は、故意殺人、強盗、強姦などの、いわゆる「社会治安に大きな影響を及ぼした事件」、麻薬事件、及び、スパイなどの、いわゆる国家安全に大きな危害を及ぼした事件」である。このような事件に対しては、死刑を一層多く適用するようになっていることが推測できる。他方、恋愛関係、家族関係、隣居関係などに絡んだ殺人事件、傷害事件、及び、公務員収賄などの非暴力犯罪に対しては、従来のように死刑の適用を制限しようとしている。このような状況では、2018年以後、特に2021年以後は、中国での死刑適用の件数は、減少することがなく、横ばいしているか、時期または場所によって、増えることもあるかと推測できる。 最後に、死刑冤罪については、2010年以後、大きな関心事となり、その発見、救済が図られたものの、2018年以後は、その関心が急に薄くなり、そのための研究も減少し、難しくなっている。この状況は短期間で改善される見込みがない。
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Research Products
(3 results)