2020 Fiscal Year Annual Research Report
Legal regulation on the collection and use of information from private businesses by investigative agencies
Project/Area Number |
18K01312
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
緑 大輔 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (50389053)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 情報プライバシー / 第三者法理 / 強制処分 / 任意処分 / 法律の留保 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プライバシーの重要性が強く意識されている社会状況を踏まえて、監視型捜査を念頭に置きつつ、民間事業者や被疑者以外の第三者から犯罪捜査にかかわる情報を捜査機関が取得する場合における、法的な規制方法を検討した。 本研究の研究期間を通じて、アメリカ連邦最高裁において、携帯電話基地局に蓄積された被疑者の位置情報履歴を捜査機関が無令状で取得した行為が違憲とされた事例(Carpenter v. United States判決)等のアメリカの重要判例を複数にわたり紹介した。 このようなアメリカ法の分析や、台湾における法的規律にかかわる現地調査を踏まえて、(1)日本において特に警察機関が情報収集を行う際に、行政警察活動と司法警察活動をシームレスに規制する観点が必要であることを確認し、(2)プライバシーへの問題意識が高まり、国家が個人情報を集約し、濫用を防止する必要性が高いと判断される場合には、立法による制御が検討されるべきことを本研究で確認した。 以上の研究を進める中で、プライバシーを制約して収集したデータを使用して、刑事司法制度の効率的かつ効果的な運営を目指す動きがアメリカをはじめとする各国で強まっていることも確認できた。そのため、プライバシーの制約を伴う情報の収集のみならず、その情報をどのように利用するかという観点からの研究も重要であることが認識できた。例えば、勾留されている被告人の保釈等の釈放を行う際に、データを用いて逃亡や罪証隠滅の可能性等を測定するという運用などがみられる(「被告人の釈放と電子監視」季刊刑事弁護104号(2020年)所収)。そこで、これらを射程に入れた研究の準備にも着手した。 また、本研究成果も取り込みつつ、刑事訴訟法の学習者向けの教科書を、実務家らとともに執筆して刊行した(『基本刑事訴訟法I』および『基本刑事訴訟法II』)。
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Research Products
(8 results)