2020 Fiscal Year Research-status Report
経済刑法総論の探求及びそれに基づく特別刑法の解釈・運用について
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18K01315
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
品田 智史 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (60542107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西内 康人 京都大学, 法学研究科, 准教授 (40437182)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 刑法 / 経済刑法 / 経済法 / 金融商品取引法 / 消費者保護法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、経済刑法の独自性(日常的な経済行為との隣接性、民事・行政上のエンフォースメント手段との連続性)という視角をもって経済刑法総論を構築し、それに基づき各則である各刑罰法規を検討することによって、その解釈・運用・立法に寄与するとともに、経済刑法に関する全体・個別の議論の更なる活性化を目的とするものである。本年度は、これまでに得られた経済刑法総論に関する成果に基づいて、各論的な検討を開始した。また、本研究の前提とする経済刑法の特性の妥当性についても引き続き検討を行っている。 1.各論的な検討の素材として、当初の予定と異なり消費者保護法の領域を研究対象とした。消費者保護法においては、消費者保護という共通する観点に基づきながら、各個別領域において、場合によっては複数の特別刑法が様々な規制手法を用いており、その横断的分性を通じて有益な分析ができると考えたためである。また、課徴金を伴う景表法の存在から、行政上の制裁と刑罰との関係についての示唆も得られるほか、刑法典の詐欺罪と関連する領域であるため、刑法典の罰則と特別刑法罰則の異同についても検証できる。 2.前年度に検討した最高裁判所の刑法判例についての分析に関する研究成果が公表された。これに引き続き、(上記消費者保護法の領域を中心に)特別刑法罰則についての最高裁の解釈手法・内容を検討することで、中核刑法分野と特別刑法分野における判断手法の傾向についての違いを検討している。 3.研究の過程の副次的業績として、組織犯罪処罰法、特別刑法の賄賂罪など、特別刑法に関する論考をいくつか公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は各論的テーマについて当初の予定から変更が生じているが、研究成果が順次公表されているなど、進捗状況としては、おおむね順調である。もっとも、比較法研究については不十分な点を残しているので、(1)と評価することはしなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である本年度は、各刑罰法規の具体的な検討を行う。その際には、当該刑罰法規の解釈論にとどまらず、他のエンフォースメント手段との関係や、運用面についても検証を行う。その対象として、消費者保護法の領域を選択しており、課徴金制度との関係や、複数ある特別刑法罰則の横断的な検討をする。可能であれば、当初予定していた経済法や金商法の領域についても研究を行う予定である。 また、各論的検討によって、総論的分析についての修正点や新たな問題箇所が生じてくると思われるので、それをフィードバックする形で経済刑法総論の構築についての研究も引き続き進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、予定していた外国出張ができなくなったため(一部は、洋書の購入費用とした)。今年度、上記外国出張が可能となるようであれば、生じた使用額はその費用としたいが、それが不可能な場合は、あらためて検討する。
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Research Products
(3 results)