2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01321
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
嘉門 優 立命館大学, 法学部, 教授 (40407169)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 性犯罪 / 性的自己決定 / 法益論 / わいせつ概念 / セクハラ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である2018年度は、まず、著書(『法益論――刑法における意義と役割』(成文堂、2019年))を公刊した。この著書において、とくにドイツとの比較を通じて、不同意性交等罪の是非や、未成年者に対する性犯罪のあり方など、現行刑法の問題点を検討した。また、強制わいせつ罪におけるわいせつ概念についての判例分析を行った。以上のこれまでの検討を踏まえて、比較的軽微な性犯罪としてのセクハラに対する処罰の可能性について検討を行った。その内容は「日本におけるハラスメントの法規制――セクハラに対する処罰のあり方について――」と題して論文を公表する予定である。また、最新の判例評釈として「性同一性障害と診断を受けた者の胸部を触った行為に対して迷惑防止条例違反の罪が成立するとされた事例」について検討を行い、公表した。 以上のような論文公表を行う一方で、2018年7月には、衆議院第一議員会館、刑事法(性犯罪改正)PT(立憲民主党)において、「地位・関係性に乗じた性的行為の処罰範囲の拡大―監護者性交等・わいせつ罪と児童福祉法違反の関係を中心に―」と題して、研究報告を行った。また、京都において性犯罪被害者の相談を受け付けている「京都SARA(京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター)において、最近の性犯罪相談の状況について相談員の方にヒアリングを行った。さらに、龍谷大学犯罪学研究センターにおける性犯罪研究プロジェクトに参加し、そこで招聘された趙炳宣教授による韓国における性犯罪の状況報告、さらに、Renzikowski教授によるドイツにおける性犯罪報告を受け、海外の情報収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年は入試担当副学部長であったため、校務の国内出張などが重なり、本来予定していた海外出張をすることができなかった。その代わりに、国内でのヒアリングや調査を充実させた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、昨年度できなかった海外出張として、台湾での性犯罪に関するシンポジウムへの参加、施設見学を予定しており、台湾における性犯罪に対する実務の状況を広く調査する予定である。このシンポを通じて、アジア諸国における性犯罪に対する理解を深め、比較法研究を進めるつもりである。また、現在所属している龍谷大学犯罪学研究センターにおける性犯罪プロジェクトや、国内における性犯罪研究者との意見交換会にも参加し、最新の議論収集にも努める。 以上に加えて、国内の調査として引き続き、国内の性犯罪被害者相談センターに対するヒアリング調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度に購入を予定していた図書を、2019年度に購入することになったため
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Research Products
(2 results)
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[Book] 法益論2019
Author(s)
嘉門 優
Total Pages
308
Publisher
成文堂
ISBN
9784792352677