2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K01321
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
嘉門 優 立命館大学, 法学部, 教授 (40407169)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 性犯罪改正 / 台湾における性犯罪実務 / 暴行・脅迫要件の廃止 / 強制性交等罪 / 準強制性交等罪 / セクシュアルハラスメント / 不同意性性交等罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、とくにアジアにおける性犯罪実務の調査に力を入れてきた。はじめに、台湾とのシンポジウムを、龍谷大学犯罪学研究センターのもとで開催し、強制性交等罪・準強制性交等罪に関して「暴行・脅迫/抗拒不能要件について」と題する報告を行い、台湾の研究者ならびに裁判官から、台湾の性犯罪実務の状況についてヒアリングを行った。さらに、2020年2月に韓国での調査も予定していたが、残念ながら、新型コロナの影響により中止した。状況が落ち着けば、21年度に実施予定である。中国の性犯罪の状況についても、現在、立命館大学に留学している院生による比較法研究の指導を通じて調査を行っている。 研究成果としては、2020年に予定されている、性犯罪改正を見越して「性犯罪規定の見直しに向けて――不同意性交等罪の導入に対する疑問――」立命館法学387=388号(2020年3月)を公表した。現在、暴行脅迫要件の廃止が主張されているが、No means noモデルやYes means yesモデルについて検討し、いずれも問題を抱えていることを主張した。また、改正に向けて、反抗意思を発することのできない被害者の実態把握、そういった被害実態を条文上、どのように明文化するかの検討が急務であることを指摘した。 以上のような研究内容について、日弁連の刑事弁護実務委員会の依頼により、2019年12月に「性犯罪に関する刑法改正への評価及び今後のあるべき立法」と題する報告を行い実務家との意見交換を行った)日弁連刑事弁護センター2019年度刑事弁護実務研究会)。 また、性犯罪に関連して、セクシュアルハラスメントについても検討を行い、「日本におけるハラスメントの法規制」刑事法ジャーナル60号(2019年6月)も公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年の性犯罪改正に向けて、6月には台湾出張、国内の性犯罪研究者、実務家との意見交換も積極的に行い、研究会にも参加してきた。さらに、新聞取材や議員によるヒアリングも受け、社会への意見表明も行ってきた。年度の前半期のそういった調査活動を踏まえて、後半期には、海外出張やヒアリングに力を入れる予定でいたのだが、新型コロナの影響により、それらの予定がすべて中止となってしまったことから、計画からは「やや遅れている」状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナが収束次第、調査活動やヒアリングを再開するつもりである。収束するまでの間は、オンライン会議などを通じて、できるかぎり、研究者や実務家との意見交換を行って研究を進める予定である。また、1月には、性犯罪改正に向けた共同研究を予定していることから、その準備活動を通じて研究を進めていくつもりである。
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Causes of Carryover |
夏にドイツ出張を予定していたが、体調不良のため中止をし、代わりに2月に韓国出張を行う予定だった。しかし、新型コロナの影響で中止となり、出張費などの出費がなくなってしまったことが主な理由である。今年度、新型コロナが収束すれば、改めてドイツや韓国出張を行うこととしたいが、難しいようであれば、国内での調査活動に切り替えることとする予定である。
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Research Products
(4 results)