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2019 Fiscal Year Research-status Report

ドイツにおける重罪合意罪(謀議罪)及び犯罪結社罪・テロ結社罪の歴史的展開と現状

Research Project

Project/Area Number 18K01322
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

安達 光治  立命館大学, 法学部, 教授 (40348868)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords重罪等合意罪 / 犯罪・テロ団体結成罪 / テロ等準備罪 / 組織的犯罪集団
Outline of Annual Research Achievements

2019年度は、当初の研究計画のとおり、研究専念期間とすることができた。春学期(4月1日~9月25日)にはドイツのフランクフルト大学で国外研究を、秋学期(9月26日~3月31日)には立命館大学で学内研究を実施した。
春学期の国外研究では、現行ドイツ刑法30条の前身である(旧)49条a(関与未遂罪)に関連する文献の収集を中心に活動を進めた。ドイツ刑法(旧)49条aに関し、フランクフルト大学図書館には、わが国では知られていない博士論文等の資料が所蔵されていることが分かり、それらを収集することができた。とりわけ、本研究課題の主たる動機である「テロ等準備罪」に対しては、その合憲性を問題視する見解がみられるところ、ドイツ刑法(旧)49条aの基本法適合性について、平等原則と刑罰法規の明確性原則に依拠して考察した論文(W. Wunsch, Entspricht §49a StGB den rechtsstaatlichen Prinzipien des Grundrechts, 1963)を見出せたのは重要な成果である。本研究課題のもう一つの柱であるドイツ刑法129条、129条a(犯罪結社罪、テロ結社罪)に関しては、当初の研究計画に従い、フランクフルト大学の受入教員の紹介で、当地の検察官と弁護士1名ずつから、運用実態の概略を聞くことができた(内容の詳細を公にすることはできないが、主として捜査の端緒として利用されているようである)。
秋学期の学内研究では、フランクフルト大学で収集した上記文献等の整理、検討を行った。また、並行して、「テロ等準備罪」における団体の「共同の目的」要件を手掛かりとした限定解釈を指向し、ドイツ刑法129条の犯罪団体結成罪(当初「犯罪結社罪」としていたが、実態に鑑み和訳を変更した。)の成立要件のうち、団体結成の目的要件につき検討を行い『立命館法学』に論稿を公表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ドイツ刑法における重罪等合意罪の歴史的経緯の検討に必要な文献の収集は、2019年度春学期の国外研究によって概ね行うことができた。収集した文献の整理、検討については、秋学期の学内研究において進めており、公表に向けた準備にいま少し時間を要するものの、今後の研究の推進方針で述べるとおり、2020年夏から秋頃に『立命館法学』において連載を開始することができる状況にある。犯罪団体結成罪については、春学期のドイツ滞在中に得た情報をもとに、処罰範囲の限定を指向した論稿を公刊することができた。これにより、本罪の現状の分析に関する研究のうち、およそ4割程度の進捗をみたものと評価する。
なお、2019年度秋学期(2月頃)に計画していたドイツの大学等研究機関での追加の文献収集については、新型コロナウィルス感染症の影響により、今年度は見合わせることとなった。

Strategy for Future Research Activity

今年度に収集した文献の整理、読解の作業に基づいて、ドイツ刑法における重罪等合意罪の歴史的経緯に関する論稿を『立命館法学』に連載していく。具体的には、①1871年刑法典制定以前の領邦刑法典における謀議罪立法、②1876年のドイツ刑法(旧)49条創設後の学説の議論と1920年代までの刑法改正諸草案、③1943年の刑法調整令による重罪等合意罪創設の背景、④第二次大戦後の刑法改正作業における議論、⑤重罪等合意罪の現状、について整理、検討した論稿を執筆、公表する計画である。執筆に際し、ドイツの大学等研究機関において、追加の資料の収集が必要となる可能性があるため、新型コロナウィルス感染症の状況を勘案しながら、可能であれば、ドイツでの資料収集を行う。その場合、論文の公刊が遅れる可能性がある。それと合わせ、状況が許す限りで、研究成果の海外での発信の一環として、フランクフルト大学法学部内の研究会において、共謀罪の日独比較について、ドイツ語で口頭報告を行うことを計画している。
犯罪・テロ団体等結成罪については、ドイツの連邦裁判所の判例は処罰範囲を限定する傾向にあるところ、EUの枠組決定を受けた法改正がなされている。本罪については、特に政治目的での団体に対する適用が問題とされていることから、今後の研究では、EU法との関連も踏まえながら、本罪に関する判例、学説の検討をさらに進めることにする。
当初計画の枠組みに従い、以上の成果のまとめとして、2021年度を目途に、『ドイツにおける共謀罪の研究(仮)』と題する著書を公刊することを視野に入れる。

Causes of Carryover

国外研究を終えて、学内研究中の2020年度2月にドイツでの追加の資料収集を計画していたが、新型コロナウィルス感染症の影響により、ドイツに渡航することが困難となったため、今年度秋学期(2019年9月末~2020年3月末)中の海外出張を中止したことにより、想定していた金額の旅費を使用することができなかった。また、同様の理由により、今年度内のドイツ語文献の入手も困難となったため、図書費についても、計画よりも低い金額の執行にとどまった。
2020年度は、新型コロナウィルス感染症の状況を勘案しながら、可能な限りドイツでの資料収集と研究報告の実施を追求する。合わせて、資料に関しては、極力国内からの取り寄せを行うこととする。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] いわゆる「テロ等準備罪」における「組織的犯罪集団」の要件について―「共同の目的」を中心に―2020

    • Author(s)
      安達 光治
    • Journal Title

      立命館法学

      Volume: 387=388号 Pages: 1-23

URL: 

Published: 2021-01-27  

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