2018 Fiscal Year Research-status Report
画像の撮影・拡散によるプライバシー侵害等に対する刑事規制のあり方
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18K01325
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊田 兼彦 大阪大学, 法学研究科, 教授 (90410539)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プライバシー等の侵害 / 画像の撮影・拡散 / 刑事規制 / インターネット / スマートフォン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、画像の撮影・拡散によるプライバシー侵害等に対する刑事規制の現状と課題を具体的に明らかにしたうえで、これに対する刑事規制のあるべき姿を立法提案も視野に入れて探究しようとするものである。その際には、ドイツの刑法を比較研究の対象とする。ドイツ刑法には、画像の撮影・拡散によるプライバシー侵害等を処罰する201条aがあり、その参照価値は極めて高いと考えられるからである。 平成30年度は、研究実施計画に従い、準備的な作業を行った。すなわち、画像の撮影・拡散によるプライバシー侵害等に対するわが国の刑事規制の現状と課題を明らかにするために、わが国の関連文献・裁判例を収集・分析・検討するとともに、その分析・検討視角を得るために、ドイツ刑法201条aに関するドイツの文献を収集・分析・検討した。この作業により、当初より予想していたわが国の刑事規制の断片性が確認された。他方で、わが国の一部の条例において、近時、盗撮等の刑事規制に関する改正が重ねられ、刑事規制の網が徐々に拡大している現状も確認できた。 以上の作業を踏まえ、次年度においては、わが国の関連文献・裁判例の収集・分析・検討を継続するとともに、あるべき刑事規制を検討するための下準備として、ドイツの文献や裁判例の収集・分析・検討に力を入れる。とくに、折よく平成30年度中にドイツ刑法201条aに関するモノグラフィーがドイツで出版され、これを入手したので、それを読み解くことを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に実施する予定であった日独の関連文献・裁判例の収集・分析・検討がおおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、日独の関連文献・裁判例の収集・分析・検討を進める。同時に、わが国においては、盗撮等の刑事規制に関し、条例の改正が比較的盛んに行われているので、その動向にも目を配りつつ、これに分析を加える。ドイツでのインタビュー調査と資料収集も、可能であれば、行いたい。
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Causes of Carryover |
ドイツでの調査等が日程上の都合により実施されず、残高が生じた。次年度は、物品費と旅費に計上する予定である。
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Research Products
(1 results)