2022 Fiscal Year Research-status Report
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18K01331
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
角田 美穂子 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (10316903)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マンション管理規約 / 団体自治の限界 / 説明義務 / 詐欺・錯誤と消費者契約法 / リーガルイノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
プラットフォーム提供者と利用者の法的関係は、第一義的には利用規約等の契約条項によって律せられる。この契約条項をどう定めるかは当事者が自由に決められるのが原則であるものの様々な制約があり、法的拘束力が否定されることも少なくない。この問題に関連して、マンションの管理組合規約において管理費の負担割合の決め方の限界が問われた裁判の研究をおこなった。 また、プラットフォームを介して投資アドバイスを提供する業者(ロボアドバイザー)の説明義務・適合性原則義務違反の研究も継続している。その一環で、説明義務、詐欺・錯誤と消費者契約法をめぐる法改正、判例・学説の発展を踏まえ、重要判例の解説と問題演習の内容を見直し、改訂した。 これらと並行して、ケンブリッジ大学法学部教授・兼・ジャッジビジネススクール「ビジネスリサーチ研究所」所長サイモン・ディーキン氏、ケンブリッジ大学法学部准教授フェリックス・シュテフェック氏をコアメンバーとしながら、日本政府が示している未来社会のビジョン「Society5.0」に照準を合わせ、「Society5.0に相応しい司法」を実現するための新しい法学を探究している。その過程で「司法の核心をなす法的推論という緻密で高度な言語ゲームは、どこまでコンピュータ言語に落とし込むことが可能か」という問いを立てるとともに、さまざまな構造的な社会課題が山積する現代にあって社会課題「解決」先進国となることを目指すという目標に貢献できる法学となるべく、法制度の激変する社会経済への「適応」を捉える「リーガルイノベーション」という新しい法学のコンセプトを提案しており、その活動に軸足を移した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
引き続き、家族の看病・介護を抱えているため、研究時間確保に苦慮しているほか、渡欧して海外研究者との共同研究を遂行することが困難となっている。 くわえて、2021年度に投資アドバイスに係るプラットフォーム提供者の法的責任を考察した東京大学公共政策大学院で行った講演の書籍化が計画されていたが、同書編者の家庭の事情等で進捗していない。
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Strategy for Future Research Activity |
リーガルイノベーションという新しい法学のコンセプトをより深化させる。投資アドバイスに係るプラットフォーム提供者の法的責任論を、具体的な解釈方法論として展開する予定である。
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Causes of Carryover |
プラットフォーム提供者の法的責任について研究する時間を確保することができなかったこと、および、書籍化に向けた共同作業も進捗できなかったため。 次年度は、投資アドバイスに係るプラットフォーム提供者の法的責任を論じた日本語の講演原稿を英文で公表したいと考えており、ネイティブスピーカーの校閲費用に充てる。
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