2018 Fiscal Year Research-status Report
付調停の研究ーーー「付ADR」のための予備的考察として
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18K01333
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西川 佳代 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (00276437)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 和解 / 調停 / ADR |
Outline of Annual Research Achievements |
裁判所における「合意」による紛争解決としての「訴訟上の和解」と「調停」については、制度上は別個のものであるものの、それらが並存することについての意義が明らかではない。本年度はこの点を追求するため、和解および調停制度に関する先行研究の文献調査と、和解手続の規律に関する文献調査およびアメリカの民事訴訟規則16条改正プロセス等についての文献調査を行った。 また、特に訴訟の途中で調停に回付する付調停という制度に関しては、訴訟上の和解があるにもかかわらず、別の手続での合意形成を裁判官の裁量によって行わせるものであり、その存在意義が問われることになるのであるが、この点を解明するために、本年は研究初年度として、付調停に関する文献調査を行った。 これらの結果、特に注目されるのは、調停では、従来、法専門家以外の専門家が調停委員となることにより、より実情に即した解決が可能であることに着目されてきていたが、平成15年民事訴訟法改正による専門委員制度の導入により、専門的知識が必要な事件について、訴訟や訴訟上の和解に専門委員が関与することが可能となったため、「付調停」のニーズが減少し、あるいは調停に付するケースが変質しているのではないかという仮説を得た。今後は、この仮説を検証するために、実務経験のある者へのインタビュー調査を行う予定である。このほか、アメリカ(ニューヨーク)におけるインタビューによって、最近の和解の状況および付ADRの実際について知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り進展しているが、付調停制度の成立に関する文献が少なく未だ探索中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は裁判官や調停委員など、実務経験のある者に、制度選択についての視座やそもそも付調停経験の有無などをインタビューする予定である。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の結果整理等において謝金を支払う予定であったが、今年度はその必要がなかったため次年度使用額が生じた。しかし、次年度早期に謝金支払いの予定がありこれに充てることを考えている。
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Research Products
(3 results)