2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K01334
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮本 誠子 金沢大学, 法学系, 准教授 (00540155)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 民法 / 相続 / 財産承継 / 夫婦財産制 / 信託 / フランス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本法については、昨年度に引き続き、相続法改正に関する検討・分析を優先的に行った。具体的には、平成30年相続法改正と、所有者不明土地問題をめぐって法制審議会民法・不動産登記法部会が検討している相続法改正案である。前者については、改正の内容を整理し、残された問題を指摘した(潮見佳男ほか編著『Before/After相続法改正』(弘文堂、2019)204~213頁、大村敦志=窪田充見編『解説 民法(相続法)改正のポイント』(有斐閣、2019)64~83頁、135~148頁、その他)。後者については、相続財産の管理に関する検討を行い、現行の相続財産管理制度の問題点、法制審の中間試案で提案されている新しい財産管理制度の内容と、新制度を導入することにより生じ得る問題、今後の議論の方向性等を指摘した(「相続財産の管理」ジュリスト1543号34~40頁)。 フランス法については、相続以外の財産承継手段としてよく知られた生命保険と、相続法との関係を調査した。わが国では、生命保険請求権の特別受益該当性と、遺留分侵害の問題が問題とされる。フランスでは保険法典に規定があり、わが国の判例に類似した立場にあるかに見えるが、わが国では相続人間の公平に着目して処理をしているのに対し、フランスでは、個々の相続人の生活保障に着目しており、違いがあることも明らかになった(口頭報告: L’assurance-vie, Transmettre son patrimoine : les alternatives a la succession et aux libbralites Seminaire franco-japonais, Nantes, France, 2019年9月、「相続代替としての生命保険の可能性とその限界」市民と法120号70~73頁)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、日本法については、平成30年相続法改正および所有者不明土地問題に関連する相続法改正の議論を、優先的に分析することにした。フランス法については、相続以外の財産承継手段としてよく知られた生命保険を採り上げ、相続法の規律との関係を分析し、フランスにおいて口頭報告するなど、研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
フランス法について、生命保険による財産承継と相続法との関連に関する検討をさらに深化させる。また、フランスの相続法におけるわが国にはない制度(恵与分割、優先的割当等)が、相続法体系の中でどのように位置づけられているのかを引き続き検討する。
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Causes of Carryover |
年度末の2~3月に予定していた複数の出張を、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、断念した。
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