2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01343
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
原 恵美 学習院大学, 法務研究科, 教授 (60452801)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ケープタウン条約 / 担保権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際的に見て担保法のあるべき姿とは何かを解明し、国内法がそのあるべき姿に適合しているのかを分析することによって、我が国の担保法を国際的な動向の中に位置付けることを目的としている。近年、国際的には、担保法のあるべき姿として、あらゆる価値のある財産を対象に低コストで担保を設定することを可能とし、優先関係が明確に分かるような登記制度を前提とした法制度の策定が企図されている。具体的には、一方では、2016年に UNCITRALによって作成された担保取引に関するモデル法のように、動産(この場合、有体物・無体物の双方を含む)全体を対象とする包括的・一元的な担保法制の整備があり、他方 で、2001年にUNIDROITによって作成されたケープタウン条約のように、特定の産業に特化した、分野特有のニーズに応えるような担保法制の整備が挙げられる。こうして形成されつつある国際ルールと日本の担保法を比較検討するのが本研究の目的である。 本年度は、まず、本研究の助成金を一部利用し、「担保法改正:国際的潮流と日本への示唆」という国際シンポジウムを開催した。基調講演やパネルディスカッションを通じて、①国際担保法秩序における核となるルールを明らかにし、②日本法はこうした「核となるルール」とどのような関係に立つのか諸外国との比較の中で相対化することなどを行った。 また、現在起草作業が進行しているケープタウン条約の「鉱業物件・農業物件・建設業物件議定書 (MAC議定書)」について、ワークショップでの報告や論文の執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、7月30日と31日に、わが国における担保取引の実務が,国際機関)が想定する取引実態とは異なっているのではないかという問題意識から、①国際担保法秩序における核となるルールを明らかにし、②日本法はこうした「核となるルール」とどのような関係に立つのか諸外国との比較の中で相対化することなどをテーマとしてシンポジウムを開催した。 シンポジウムには担保法分野の専門家を招待し,日英の著名な学者による基調講演、さらに、海外からの招待者、 日本の実務家,大学の研究者によるパネルディスカッションをおこなった。担保の国際ルールと我が国への適合性を考える端緒となった。 また、ケープタウン条約のMAC議定書に関する論文を執筆し、新しく形成されつつある担保の国際ルールの考察をおこなった。また、2018年8月と9月、さらに2019年1月にMAC議定書に関するワークショップでMAC議定書に関する報告および日本のMAC関連業界の資産担保金融に関する報告をする機会を得た。 以上のことから、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、我が国の担保法を国際ルールと比較する論文を英語にて執筆する予定にしている。このことによって、国際担保ルールと日本法の適合性につき、国際的な知見を得られることを期待している。
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Research Products
(4 results)