2019 Fiscal Year Research-status Report
英国における一連の保険法制改革が海上保険分野に及ぼす影響を検証する
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18K01350
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
野口 夕子 近畿大学, 法学部, 教授 (40314794)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海上保険法制 / 1906年海上保険法 / 2015年保険法 / 2012年消費者保険(告知・表示)法 / 2016年企業法 / 保険法 / 海商法 / 商法 |
Outline of Annual Research Achievements |
「交付申請書(様式D-2-1)」中の「7.研究の目的」に記載したように、本研究の目的は、英国において、「2015年保険法」(Insurance Act 2015)をはじめとする一連の保険法制改革が、「1906年海上保険法」(Marine Insurance Act 1906)を中心とした英国海上保険法制、ひいては、わが国を含め、諸外国の海上保険法制並びに海上保険実務に如何なる影響を及ぼすかを明らかにすることにある。その目的を達成するためには、同申請書中の「8.補助事業期間中の研究実施計画」に示すように、まず、1906年海上保険法が、2015年保険法によって如何に改正されたのかを明らかにしなければならない。 本研究にかかる補助事業期間(5年間)2年目となった本年度(2019(令和元)年度)も、昨年度(2018(平成30)年度)に引き続き、英国における一連の保険法制改革にかかる議事録をはじめ、関連文献や研究論文を収集するとともに、入手した資料について整理し、分析を進めている。加えて、本年度は、同年6月に渡英、英国Southampton大学Law Schoolの研究者等から同国内の現状にかかる情報を得ることができた。 そこで、2020(令和2)年度以降も、引き続き、既に入手している議事録をはじめ、関連資料、先行研究を渉猟していく一方で、とくに2020(令和2)年度は、かかる情報を基に、英国における一連の保険法制改革のなかで生じた、保険・海商に関わる数々の裁判例を精査したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「交付申請書(様式D-2-1)」中の「7.研究の目的」並びに前記「5.研究実績の概要」に示す本研究の目的を達成するためには、まず、1906年海上保険法が、2015年保険法によって如何に改正されたのかを明らかにする必要がある。そのうえで、かかる改正が、英国海上保険法制、ひいては海上保険実務にどのような変更をもたらすことになるのかを検証するとともに、2015年保険法、「2012年消費者保険(告知・表示)法」(Consumer Insurance (Disclosure and Representations) Act 2012)及び「2016年企業法」(Enterprise Act 2016)の新法に設けられた規律を精査し、これらの規律が1906年海上保険法に組み込まれることによって、1906年海上保険法、海上保険実務が受ける影響を考察しなければならない(「交付申請書(様式D-2-1)」中の「8.補助事業期間中の研究実施計画」を参照のこと)。 既述のような補助事業期間中の研究実施計画にしたがって、補助事業期間(5年間)2年目となった本年度(2019(令和元)年度)も、昨年度(2018(平成30)年度)に引き続き、英国における一連の保険法制改革にかかる議事録をはじめ、関連文献や研究論文を収集するとともに、入手した資料について整理・分析を進めた。加えて、本年度は、前記「5.研究業績の概要」に示すように、2019(令和元)年6月に渡英、英国Southampton大学Law Schoolの研究者等から同国内の現状にかかる有益な情報を得ることができた。 以上のことから、補助事業期間中の研究実施計画及び最終年度に研究成果を論文として公表するという目標に照らして、順調な進捗状況にあるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
「交付申請書(様式D-2-1)」中の「7.研究の目的」に記載した、本研究の目的を達成するべく、同申請書中の「8.補助事業期間中の研究実施計画」並びに前記「7.現在までの進捗状況」の理由欄に示した研究計画にしたがって、今後も、英国における一連の保険法制改革にかかる議事録をはじめとした関連資料、裁判例、先行研究を渉猟することにより、当該研究の成果をかたちにしていきたい。そのために、英国における保険法、海商法のみならず、会社法分野にかかる研究者から、最新論文等の関連資料や同国内の現状にかかる情報の提供、同国内を中心とした先行研究を踏まえた助言を受けつつ、本研究を進めていきたい。 本研究にかかる補助事業期間(5年間)2年目であった2019(令和元)年度は、同年6月に渡英、英国Southampton大学Law Schoolの研究者等から同国内の現状にかかる情報を得ることができた。そこで、2020(令和2)年度以降も、引き続き、既に入手している議事録をはじめ、関連資料、先行研究を渉猟していく一方で、とくに2020(令和2)年度は、かかる情報を基に、英国における一連の保険法制改革のなかで生じた、保険・海商に関わる数々の裁判例を精査したい。
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Causes of Carryover |
前記「8.今後の研究の推進方策」に記載したように、2019(令和元)年度に行った在外出張とその成果を踏まえ、2020(令和2)年度は、英国における一連の保険法制改革のなかで生じた、保険・海商に関わる数々の裁判例を精査したいと考えている。そのために欠かせないのが、かかる裁判例を年ごとに整理し、とくに重要な裁判例について検討を行ったHjalmarsson, J. (2017), Maritime law in 2016: a review of developments in case law, i-law Maritime & Commercialであり、Hjalmarsson, J. (2018), Maritime law in 2017: a review of developments in case law, i-law Maritime & Commercialである。これら電子ジャーナルは、2018年版以降も、引き続き公表される予定である。 当該年度(2019(令和元)年度)において入手したかったが、「実施状況報告書(収支状況報告書)(様式F-6-1)」中の「6.費目別収支状況等」にあるように、当該年度における直接経費の残額分(5,078円)ではこれら電子ジャーナルのうち、一年分を購入することさえ困難なため、次年度(2020(令和2)年度)分(600,000円)と合算することによって、上記ジャーナルをすべて購入するとともに、同ジャーナルの著者である英国Southampton大学Law School所属のJ. Hjalmarsson博士にインタビューするための渡英費に当てたい。
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