2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K01351
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| Research Institution | Kwansei Gakuin University |
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Principal Investigator |
内山 衛次 関西学院大学, 法学部, 教授 (80203553)
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2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 強制執行 / 執行債務者保護 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
２０１８年５月２０日に熊本大学で開催された第８８回日本民事訴訟法学会のシンポジウム『強制執行法制の改正問題』（司会 笠井正俊 京都大学教授）において、報告者の一人として「債権執行における執行債務者の保護」を報告し、質疑応答を行った。報告では、ドイツの給料債権の差押制限制度（ドイツ民事訴訟法８５０条以下）および給料が銀行口座に振り込まれた場合の口座預金の差押保護制度（ドイツ民事訴訟法８５０条ｋ）を紹介し、これを参考にして、わが国における執行債務者保護のための新たな立法措置の必要性およびそのモデル規定を提案した。報告後の質疑応答では、執行債務者が保護を受けるために自らが自分の給料について、例えば、複数の給料を受給していることを開示する必要があるとすれば、財産開示制度の代替手続として執行債権者に利用されるのではないか、また、執行債務者の差押保護において、扶養権者が執行債権者の場合についてどのように考えるのかなどの貴重なご質問を賜った。それぞれ重要な御指摘であり、今後の研究課題の遂行に示唆を与えて頂いた。なお、学会シンポジウムでの私の報告および質疑応答の内容については、民訴雑誌第６５号（日本民事訴訟法学会編、２０１９年３月３１日発行）１０２頁～１１８頁および１３６頁から１３９頁に掲載されている。
学会報告の後も、報告に対してご質問を受けた事項並びにドイツ法の執行債務者保護の制度のさらなる研究のために、ドイツ法の文献を購入し、それに基づき研究を進めている。とくに、ご質問を受けた事項でもある執行債権者が扶養権者である場合の執行債務者保護の方法は、報告においても今後の課題とさせて頂いた難しい問題であり、ドイツ法を参考にしながら検討を行っている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題である「債権執行における執行債務者の差押保護制度の改革」に関して、第８８回日本民事訴訟法学会のシンポジウムで「債権執行における執行債務者の保護」について報告を行った。報告の準備段階で、ドイツの執行制度および執行債務者の保護について検討を行い、わが国における債権執行において執行債務者をどのように保護すべきかを考察することができただけでなく、シンポジウムの質疑応答を通して、今後の研究の課題、とりわけ、執行債権者が扶養権者である場合の執行債務者保護をどのように考えるかについての研究がやはり重要であることを認識できたことは非常に有益であったと考える。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、ドイツの債権執行における執行債務者保護制度が、わが国とは異なり、詳細な規定をもち、またわが国では立法化されていない金融機関の預金債権の差押保護制度を設けていることから、これについてドイツの文献資料を収集してその内容および問題点についてさらなる検討を行う。とくに、扶養権者による給料債権の差押えについては、ドイツと実体法が異なることから、文献資料によりさらに研究を深めていく。
なお、以前に留学したドイツのボン大学の名誉教授にドイツの法状況についてご意見をお聞かせ頂きたいと考えており、当地での資料収集を含めてドイツに行くことを予定している。
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| Causes of Carryover |
当該年度で購入予定のドイツ法の文献に発行時期が遅れた文献があったことから未使用額が発生した。これについては、次年度における文献購入費に充てる。なお、次年度も本年度と同様に、研究課題である「債権執行における執行債務者の差押保護制度の改革」の遂行のために、わが国よりもより詳細な規定をもつ、あるいはわが国に規定のない規定をもつドイツ民事訴訟法の制度をさらに検討し、わが国におけるこの問題について検討を続ける予定である。
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Research Products
(1 results)
