2022 Fiscal Year Annual Research Report
Reform of the protection against the distress of an earned income of the debtor concerned in the execution of civil affairs.
Project/Area Number |
18K01351
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
内山 衛次 関西学院大学, 法学部, 教授 (80203553)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 給料債権の差押え / 執行債務者保護 / 差押禁止最小限度額 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題である「債権執行における執行債務者の差押保護制度の改革」の中核をなす執行債務者の給料債権の差押制限について論文にまとめた。この論文「執行債務者の給料債権の保護-ドイツ法を参考にして」は、池田辰夫先生古稀祝賀論文集『次世代民事司法の理論と実務』藤本利一ら編(法律文化社)〔2023年5月31日発売予定〕に掲載される。 研究代表者は、この論文において、執行債務者の申立てがなくとも、その生活保障の要請に応えるために、債務者の支払期に受けるべき給料の4分の3に相当する額が一定の金額(差押禁止最小限度額)に満たないときは、その全額を差押禁止とする規定を民事執行法に導入すべきことを提案した。その際に、すでに同様な規定をもつドイツ民事訴訟法の学説および判例を詳細に検討し、わが国でもこの規定を設定することは可能であることを論証した。 この規定が今まで立法化されてこなかったのは、立法化に当たり3つの大きな問題があるとされたからである。それは第一に、債務者の給料の額およびその扶養家族の人数を第三債務者である使用者が調査し差押禁止範囲を算定することが困難であること、第二に、債務者の世帯に収入のある者が複数存在する場合には債務者の保護が必要以上に大きくなること、そして第三に、債務者が比較的少ない額の給料を複数の勤務先から得ている場合、それぞれの給料について差押禁止部分が発生し、必要以上の保護を受けてしまうことであった。 ドイツではこれらの問題について規定を設定し、あるいは学説および判例により適切な解決を得ようと努力してきた。研究代表者は、ドイツ法の状況を参考にしつつ、わが国においてもこれらの問題は解決可能であり、早急な立法化が必要であるとの結論に至った。
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Research Products
(1 results)