2018 Fiscal Year Research-status Report
環太平洋地域における解雇法制と解雇紛争解決制度の実態解明-中小企業とビジネス文化
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18K01353
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Research Institution | International Pacific University |
Principal Investigator |
安達 明久 環太平洋大学, 経営学部, 教授 (10552474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 秀之 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (30107495)
比護 正史 白鴎大学, 法学部, 客員教授 (30726659)
丹羽 由一 静岡産業大学, 経営学部, 教授 (60525450)
斎藤 輝夫 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (60726256)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 解雇規制 / ビジネス文化 / 国際比較 / 雇用紛争 / 雇用規制指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、修正版OECD雇用規制指標の策定やビジネス文化との相関分析などの「新たな手法」を開発することにより、日本 および環太平洋地域11ヶ国の解雇法制、解雇紛争解決制度の国際比較を行い、中小企業経営者の視点に則して実態を解明することなどを主目的としている。研究計画としては、全体を3つの段階に区分し、初年度2018年度は、第1段階の作業として、雇用規制や紛争解決制度に関するOECDの「雇用規制指標データベース」、国際労働財団の「アジア労働法データベース」などの文献調査を行い、2019年度以降において、第2、第3段階の作業として、個別紛争事例の収集等の海外ヒアリング調査のほか、雇用紛争発生件数の推計、修正版OECD雇用指標・雇用紛争解決制度整備指数の策定、典型標準事例によるシミュレーションの実施、およびとりまとめ等の作業を実施することを予定していた。 2018年度の実績としては、第1段階の作業がほぼ完了し、第2、第3段階の作業として想定していた雇用紛争発生件数の推計、 修正版OECD雇用指標と雇用紛争解決制度整備指数の策定、典型標準事例によるシミュレーションについても、海外ヒアリング調査のための事前準備として仮の推計作業等を実施した。その成果については、中間報告書「中小企業の視点による日中印韓および東南アジア5ヶ国のビジネス文化と解雇法制比較-OECD雇用指標と典型標準事例による分析」として今5月に取り纏めを行い冊子として関係者に配布したほか、内容の一部を環太平洋大学紀要(2019年度前期号)に投稿掲載することとなった。 具体的研究成果として、①日本は、マレーシア、韓国などと同じ中規制国に該当し、②アジア8ヶ国は、日本と同様に雇用紛争が少ない地域であり、③その要因として失業率の低さのほか、ビジネス文化面の特性(高コンテキスト、権威志向)が指摘できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の2018年度は、第1段階の作業として、雇用規制や紛争解決制度に関するOECDの「雇用規制指標データベース」、国際労働財団の「アジア労働法データベース」などの文献調査を行うことを想定していた。 2018年度の実績としては、第1段階の作業がほぼ完了したほか、第2、第3段階の作業として想定していた雇用紛争発生件数の推計、 修正版OECD雇用指標と雇用紛争解決制度整備指数の策定、典型標準事例によるシミュレーションについても、海外ヒアリング調査のための事前準備として仮の推計作業等を実施した。これらの成果については、前述の様に中間報告書として取りまとめ冊子を作製配布した。 他方、研究対象国については、当初、日本 および環太平洋地域11ヶ国を想定していたが、予算枠が申請時の500万円から350万円に減額されたことなどから、日中印韓および東南アジア5ヶ国の計9ヶ国に範囲を絞り実施することとし、今後の研究の推移進捗、他の予算の獲得状況などをみつつ対象範囲を拡大することとした。 なお、本研究においては、2019年1月に予算の前倒し交付を受け、海外ヒアリング調査(当初計画では2019年度実施予定)を2019年3月に繰り上げ実施する計画であったが、ヒアリング先との日程調整の都合、および、前述の雇用紛争発生件数の推計等の事前準備作業に想定外の工数を取られたことから、調査日程を2019年8月以降に延期せざるを得ないこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度については、前述の2018年度における成果を踏まえて、当初計画に従い第2段階の作業として予定している海外ヒアリング調査に重点を置いた研究を実施する。 具体的には、個別紛争事例の収集、およびビジネス文化との相関関係の定性的検証などを主目的として、検討対象国9ヶ国について、各国の日系弁護士事務所のほか日系企業進出先等のヒアリング調査を実施する。その成果を基に、現在、仮作業の状態となっている雇用紛争発生件数の推計、修正版OECD雇用指標・雇用紛争解決制度整備指数の確定、典型標準事例によるシミュレーションの見直し作業を実施する。 さらに、研究作業の推移をみて、時間的な余裕が生じた場合には、検討対象範囲を「解雇法制」に加えて、「倒産法制」に関する国際比較へも拡大し、ビジネス文化と倒産法制の相関関係について分析を拡大することも検討する。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」に記したように、2019年1月に予算の繰り上げ交付を受け、海外ヒアリング調査を2019年3月に実施する計画であったが、ヒアリング先との日程調整の都合、および、前述の雇用紛争発生件数の推計等の事前準備作業に想定外の工数を取られたことから、調査日程を2019年8月以降に延期せざるを得ないこととなった。 このため、2019年度に繰り上げ交付を受けた予算のうち相当額が未使用となったことから、次年度使用額が発生したものである。同未使用繰り越し分については、2019年度中に海外ヒアリング調査を実施する予定であり、年度内に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)