2021 Fiscal Year Research-status Report
養育費立替制度導入に向けて-「法は家庭に入らず」を超えて-
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18K01358
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
生駒 俊英 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(総合グローバル), 准教授 (00514027)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子どもの貧困 / 養育費不払い / 法は家庭に入らず / 養育費 / 養育費立替制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、本研究テーマに関する議論として、法制審議会家族法制部会において、離婚後の子の養育に関する議論が進められており、部会における議論を読み進めた。また、「法は家庭に入らず」の例外場面について、各種議論を踏まえその理由付けを検討した。一つは、共同体内部の自治が認められるのは、共同体からメンバーが離れられるという条件の下、認められるとの指摘があり、子どもに関する事項はそもそもこの原則が適用されない例外場面に該当すると理解することである。その他、経済的な紛争については、「法は家庭に入らず」が適用されないとの説明である。これらあくまで仮説にすぎないが、引き続き「法は家庭に入らず」の例外場面について研究を進める。 ドイツの扶養料立替制度の理解として、ChristianGrobe『UVG:Unterhaltsvorschussgesetz』(2020)を読みすすめた。その他、実務上、社会給付との関係において、扶養料立替給付がマイナスに作用するとの指摘があり、それら具体的な場面について整理した。またドイツでは、子の福祉が危険な場合において、国家が介入するものとしてBGB1666条が規定されている。しかし、同条の議論においても、何が“最善の監護”であるかは、複数の解釈が生じるため慎重さが求められている。これらの議論も今後参考になるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本法の観点からの研究は予定通り進んでいるが、比較法的視点からの研究は少し遅れている。 今年度、論文を公表する予定であったが、出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も、基本的には申請の際に記載した研究計画書に沿って研究を進めるものとする。 当初予定していた海外での資料収集等は難しいため、可能な限り電子ジャーナル・データベース等を利用して研究を進める。 来年度は、研究成果として論文をまとめる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、想定していた研究会への出席、海外出張等を実施することができなかったため。 次年度は、電子ジャーナル・データベース等の費用にあてる。
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