2018 Fiscal Year Research-status Report
民事訴訟における「訴訟追行権」についての基礎的研究
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18K01364
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| Research Institution | Okayama University |
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Principal Investigator |
伊東 俊明 岡山大学, 法務研究科, 教授 (60322880)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 訴訟追行権 / 訴訟担当 / 選定当事者 / 任意的訴訟担当 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、民事訴訟における当事者および訴訟参加人の「訴訟追行権」（提訴権能・訴訟追行権能・訴訟終結権能を包括する権限）に関する規律・準則を設定するために基礎となるべき考え方を明らかにすることによって、審理過程論と当事者論・訴訟参加論・判決効論とを接続し、それらの議論を豊かなものにするための理論的な環境整備を図ることを目的とするものである。
本年度は、当事者の訴訟追行権に関する問題が特にクローズアップされる「訴訟担当」に照準を合わせた研究を行った。より具体的に言うと、「訴訟担当」に位置づけられる訴訟類型のうち、被担当者（訴訟物たる実体法上の権利義務の主体）の意思（任意の意思による授権）に基づく「任意的訴訟担当」の意義・機能、その許容要件、および、任意的訴訟担当者の訴訟追行権の規律についての研究を行った。
具体体には、任意的訴訟担当の許容性を示した近時の最高裁判例（最判平成28年6月2日判決）を手がかりとして、わが国の民事訴訟法の母法といえるドイツ法には存在しない「選定当事者」制度の意義・機能に着目し、主として、大正15年の民事訴訟法改正から戦前までのわが国の学説の検討を通して、任意的訴訟担当に関する通説とされる考え方を形成した兼子一博士（任意的訴訟担当に関しては、「正当業務説」と称される）の議論についての分析を行い、わが国の任意的訴訟担当論の嚆矢となり、その基礎をなした兼子理論（「正当業務説」）の意義・位置づけ等を明らかにすることが、今後の任意的訴訟担当論を深めるためには重要となることを明らかにした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、上記の「研究実績の概要」で示した研究の成果に基づく論文を執筆し、所属する大学の紀要（岡山大学法学会雑誌）に論説（論題「任意的訴訟担当について―兼子理論を手がかりとして―」）として公表することができた。また、訴訟参加に関する研究の成果に基づく論文（論題「補助参加」）を執筆し、学術雑誌（法学教室）に公表することができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
今度は、本年度までの研究成果に基づき、以下の研究を行う予定である。
具体的には、すなわち、①民事訴訟における「訴訟追行権」の概念の基礎をなす制度的な背景について法制史的な研究（具体的には、ドイツ法の「当事者支配」という思考に関する議論（Raphael Koch,Mitwirkungsverantwortung im Zivilprozess,2013）の検討を手がかりとする分析を行う）、②当事者の「訴訟追行権」という概念を相対化するために、当事者の地位を有しない「訴訟参加人」（補助参加人と独立当事者参加人）の「訴訟追行権」についての研究（ドイツ法と法系の異なる英米法における多数当事者訴訟に関する規律（クラス・アクション等）についての分析を行う）、③「訴訟追行権」と判決効の規律の関係に関する研究（訴訟追行権を有しない者への判決効の拡張の是非に関する問題についての検討を行う。その際、法定訴訟担当と任意的訴訟担当との峻別・流動化に関する議論についての分析も行う）、④主観的追加的併合論に関する研究（ドイツ法における「第三者反訴論」の分析を手がかりとする）、⑤固有必要的共同訴訟における当事者の訴訟追行権にの規律に関する研究、である。
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| Causes of Carryover |
本年度に実施することを予定していた調査・研究のための出張が、諸般の事情により、実施することができなかった。次年度において、本年度に実施することができなかった調査・研究ための出張を実施するともに、出張に代わる文献調査も実施する方向で、研究計画を修正する予定である。
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Research Products
(2 results)
