2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Adequate Allocation of Insolvency Risk by Means of Duty of Disclosure of Credit Information on the Collateral Provider
Project/Area Number |
18K01368
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小山 泰史 上智大学, 法学研究科, 教授 (00278756)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 相殺 / 物上代位 / 所有権留保 / 担保ファイリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請時の最終年度を2020年度までとしていたが、2020年4~5月の最初の緊急事態宣言の発出後、大学図書館等の期間がこの2ヶ月間全て停止したこと、及び、法科大学院長の業務上、急遽オンライン授業への対応を余儀なくされた結果、最終年度に十分な検討をすることに困難を極めた。そこで、やむを得ず、1年間の研究期間の延長を申請して、研究期間の末尾を2022年3月に変更するに到った。 ただ、もともと2020年度までの予算申請であったため、2021年度使用できた予算残高は21万円程度にすぎず、1年間の延長にもかかわらず、文献収取等に費用をかけられなかった。また、大学の業務としての法科大学院長の任期2年目の業務量が、2020年度以上に負担として重くのしかかり、十分に研究に対して時間を割くことができなかった。加えて、10月下旬より体調に問題を生じたことも、研究遂行上の障害となってしまった。 以上のような理由から、結果として、2021年度中に新たな研究業績公表には到らなかった。ただ、本研究の課題設定、すなわち、「与信関係に新たに入ろうとする者に対して、信用を与えられる者(信用受信者)等に自己の債務状況の開示義務等を課すこと、すなわち、取引に入ろうとする者からの開示請求権を肯定することで、新たに与信を行おうとする者や担保の提供を行おうとする者にとっての、取引に伴うリスクを合理的に計算する手法を開発する」という枠組みは、相殺の抗弁やそもそも公示を要しないとする担保手段の存在によって、大きく減殺されることが明らかになったということはできる。
|