2022 Fiscal Year Annual Research Report
Flexible Supports and Measures for Preventing Child Abuse - Recent Developments in German Law
Project/Area Number |
18K01370
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩志 和一郎 早稲田大学, 法学学術院, 名誉教授 (70193737)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子どもの権利 / 子の福祉 / 子の支援 / 児童虐待 / 児童福祉法 |
Outline of Annual Research Achievements |
すでに前年度までの実績報告書に述べたように、本課題では、ドイツの家庭裁判所および少年局に対する聞き取り調査を中心として研究を進めることを予定していたが、コロナ禍のためドイツ出張を行うことができず、研究の方向を近時の子どもの権利をめぐる立法動向の調査を中心とした文献研究に切り替えざるを得なかった。 その文献研究では、近時のドイツの立法動向に焦点を当てた。ドイツでは2000年代に入ってから、数度にわたって「子どもの権利」を内容とする法律が制定されてきている。その初期のものはすでに本課題に先行する科研費課題で逐次紹介してきた。本課題の研究期間中には、2021年に「児童並びに少年の強化に関する法律」が制定され、その中で社会法典第8編(少年援助法)の大規模改正、連邦児童保護法の一部改正、民法典の一部改正などが行われた。また、それらと並行して連邦基本法に子どもの権利に関する条項を新設するための議論が行われ、2021年にはその議論を受けて連邦政府が基本法改正のための法律草案を提示した。しかし、同草案については連邦議会党派間での合意が取れず、なお調整中である。 これらの動向については、本研究期間内において、すでに基本法改正に向けて設置された連邦=州共同作業グループの最終報告書を全訳し、令和2(2020)年7月に資料集第2冊として取りまとめた。その後、前述2021年法によって改正された社会法典第8編の翻訳作業を進めたが、その際すでに平成17年度-18年度研究課題において報告書として作成した旧規定の全訳をもとにした。しかし、改正改正部分は大規模で多岐にわたっているため、旧訳を大きく改めるものとなった。またやはり2021年法によって改正された連邦児童保護法の翻訳を行い、さらに2021年の基本法改正のための政府草案も翻訳を終了した。これらについては、資料集第1冊としてまとめて公表する予定である。
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