2018 Fiscal Year Research-status Report
Good faith in contract performance
Project/Area Number |
18K01372
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山城 一真 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (00453986)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 契約 / 信義則 / フランス法 / 契約の内容規制 / 契約当事者の行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画提出時に予定されていたとおり、フランス共和国・パリ第1大学での在外研究の一環として、本研究を遂行した。具体的には、現地において文献調査・現地研究者との面会を行うとともに、若干の研究報告を行った。 (1) 文献調査 本研究課題については、破毀院商事部2007年7月10日判決が、「契約上の特権」「権利・債務の実質」という2つの観念を用いて、信義則に基づく契約内容の規制の限界づけを図る立場を明らかにして以来、新たな議論の展開がみられる。同判決については既にその概要を紹介・考察する論稿を執筆していたため、本年度においては、同判決以降に公刊された博士論文・研究論文を主に採り上げ、信義則論に関する議論状況を検討した。その過程で、1990年代以降に論じられるようになった「契約におけるユニラテラリスム(unilateralisme)」にまで分析の対象を拡充し、その議論状況を追尋することが本研究の遂行にとって有益であると考えるに至ったため、年度の後半は、その分析を中心的に行った。具体的には、「ユニラテラリスム」という問題提起がどのような関心に基づいて行われているのかを、この概念の主唱者の議論を追跡することによって考察したうえで、フランス契約法における形成権(droit potestatif)論を検討した。 (2) 現地研究者との面会 現地研究者との面会としては、7名の研究者との間で議論の機会をもった(本欄の分量の都合から、詳細を記すことができない)。 (3) 研究報告 計画年度中に、日本における民法改正を題材とする複数の研究報告の機会を得たため、本研究に関わる問題についても意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実績の概要欄記載のとおり、本年度においては、破毀院商事部2007年7月10日判決以降の議論状況を跡づけることが主な活動として想定されていたが、対象領域を拡大して研究を遂行することができた。当初予定していた研究の遂行を妨げることなく、新たな課題についても一定の見通しを得ることができたため、上記区分のとおりに自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
在外研究遂行中は、引き続き、フランス法の分析に注力することとする。帰国後は、引き続きフランス法との比較研究を行いつつ、日本法における信義則論の分析に取り組むこととする。以上は、いずれも主に文献調査・現地研究者との意見交換を主たる手段として行われるものであるため、研究の遂行に大きな支障が生じることは予想され難いとみている。
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Causes of Carryover |
本研究は、多くの部分を文献調査に負っているが、計画年度中はフランスに滞在しているため、海外からの文献購入に要する費用を抑えることができた。これに対して、次年度には、本年度に購入した文献の日本への送付を含め、文献購入に付随する支出が増加することが見込まれるため、本年度予算の一部を次年度に支出することとした。
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[Book] 社会の発展と民法学 下巻2019
Author(s)
道垣内 弘人、片山 直也、山口 斉昭、青木 則幸
Total Pages
832(うち1-67)
Publisher
成文堂
ISBN
978-4-7923-2726-2
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