2018 Fiscal Year Research-status Report
Modernization of Japanese Civil Code and CISG
Project/Area Number |
18K01379
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山田 到史子 関西学院大学, 司法研究科, 准教授 (30289029)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | CISG / 日本民法改正法 / 比較法 / 仲裁裁判 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度として、全体研究の検討を開始する為の準備作業と検討の第一段階の作業を行った。①CISGと日本民法改正法との比較法-1)個別テーマにおける比較:「CISGと改正法との比較」による日本民法改正法の位置づけを検討するにあたり、まず「危険制度」を取り上げ、日本民法改正法の危険制度の規定とCISGの規定との比較を通して、CISGの現規定内容に至った経緯-世界各国法の比較法の成果-を踏まえて、その位置づけを検討した。全体比較をするためには、個別テーマの比較を積み上げる作業が必要で、個別テーマを扱いながら契約法全体の体系的な連関を踏まえて検討を行った。2)CISGと日本民法契約法分野の現状把握-研究補助員を用いて、最新判例の検索・分析を、まず日本債権法から行った(債権法全体の最新判例検討分析・可分債権に関する最新判例の検討)。②CISG仲裁裁判内容の現状の検討-CISG仲裁裁判に関する国際カンファレンス(Arbitration Conference, 31- March, in Hong Kong)へ参加し、世界のCISG研究者及びICC香港等の世界の仲裁人と情報交換等を行い、香港やシンガポールでの仲裁廷での紛争解決の現状およびその数の多さ等、検討した。③共同研究の準備・全体計画策定-1)海外の研究者との共同研究の準備と計画-(A)CISGと日本民法との比較法的検討と、(B)仲裁裁判の実態研究について、海外研究者と日本の研究者グループで共同研究の具体的実現に向けての準備・打合せ・計画策定を行った:2019年11月~約1か月、海外から著名なCISG研究者を日本に招聘し、日本人研究者との共同研究の実現に向けて日程調整・共同研究内容の詳細の具体化について、準備・打合せを行い、体制を整えた。同志社大学・神戸大学・北海道大学・京都大学の研究者との共同研究の内容・日程の概要が決定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度として、全体検討の準備を行い、全体の見通しを立てるため、①個別テーマから「CISGと日本民法改正法」の比較を積み上げ、契約法(債権法)全体への検討につなげる作業を行うこと、②比較検討の質・量を上げるため、海外の著名な研究者との共同研究・日本人研究者らとの共同研究を計画し、全体の比較検討を実現するための見通しを立て、その計画を具体化した。 これらのために、まず日本民法の改正法の内容と共に最新の判決を検討・分析し、個別のテーマについて、契約法全体との体系的位置づけを念頭に置きながら、CISGと日本民法改正法の比較を具体的に検討できれば、同様の手順で全体を検討する目途を立てることができると思われる。 残る作業は、CISGの最新の判例・理論状況を踏まえて、全体を比較検討することであるが、来年度の共同研究による海外研究者・日本人研究者グループとの検討によって、より広い視点で多角的な検討ができると思われる。その際、CISGの判決が仲裁裁判でなされることがほとんどである実態を踏まえて分析する必要があるが、商事仲裁の実態の検討は香港での国際カンファレンスへの参加・情報収集・意見交換などを通して検討の糸口が見えてきており、今後はそれを理論的な分析に繋げる作業をする予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、初年度の準備作業を踏まえて、個別テーマの比較法的分析を全体に及ぼし、海外からの研究者と日本人研究者グループで、11月に集中的に検討を行う。それまでは各々研究グループでの検討を、本格的に開始する予定である。研究者グループでテーマを分担して、全体の検討につなげ、海外の研究者を交えて、その成果をCISGと日本民法改正法との比較法につき、多角的な視点から深く検討する。 具体的には、研究会での討論・学会報告(国際商取引法学会など)と討論を踏まえて、最終的には、比較法全体に渡るコンメンタールを、日本語・英語で企画している。
|
Causes of Carryover |
本年度の支出が4万円余りにとどまったのは、次年度の11月に控える海外研究者との共同研究・日本人グループでの検討に、かなり予算が必要と考えられたために支出を抑えたことが理由である。
|