2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01381
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
宮本 ともみ 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (20361040)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 災害関連死 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害により死亡者が出た場合に「災害弔慰金の支給等に関する法律」(昭和48年9 月18日法律第82号)に基づいて支給される災害弔慰金のなかで、その支給対象となっている災害関連死(すなわち、災害にともなう過労や環境悪化等による病死などの内科的死因にもとづく死亡)を取り上げて、各地方自治体で行われている災害関連死の認定の基準や手続をめぐる実態をできるだけ明らかにすることを目的としている。そのために、全国の県市町村へのアンケート・聞き取り調査を手掛かりにすることとした。 本年度は、2019年度に実施できなかった全国的なアンケート調査・集計および聞き取り調査の実施を予定していた。しかし、もともと本研究の計画においては、調査・集計および聞き取り調査の実施はできるだけ時期的に近接して行いたいと考えていたので、コロナ禍の影響が落ち着くまで同予定の実施は延期することに予定変更を行った。 そのため本年度は、東日本大震災10年を迎えるにあたり、政府も「災害関連死」の事例収集を行うということであったので、その後の国による統一的な認定基準づくりに寄与することを目的に、これまでに公表されてきた災害関連死の認定基準および災害関連死をめぐる裁判例の考察をすることを計画した。計画どおり研究を進めることができ、その成果として本年度12月に「災害関連死について」(アルテス リベラリウス第107号)を公刊した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初の予定では、全国の県市町村へのアンケート・聞き取り調査を手掛かりにすることを予定していたが、コロナ禍の影響があり、本年度の研究をこれまでに公表されてきた災害関連死の認定基準および災害関連死をめぐる裁判例の考察に計画更を行った。研究当初よりは、考察対象となる関連死の認定に関する統計や基準あるいは裁判例が集積されており、それを考察したことから、研究手法の変更があったものの、研究全体の目的に照らせば、おおむね順調に研究が進展したと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度、当初の研究予定を変更して、これまでの災害関連死の認定基準および災害関連死をめぐる裁判例の考察を行ったが、そのなかで、当初予定していたようにアンケートや聞き取り調査を全国的に行うよりは、特定の地域や市町村に対して、調査項目を絞って行った方が有益な分析ができる可能性もみえてきた。 コロナ禍が落ち着き次第、上記のアンケートや聞き取り調査に着手できるように準備を進める。
|
Causes of Carryover |
本年度は、2019年度に実施できなかったアンケート調査・集計および聞き取り調査の実施を予定していたが、コロナ禍の影響が落ち着くまで同予定の実施は延期することに予定変更を行っため、次年度使用額が生じた。
|