2020 Fiscal Year Research-status Report
国際環境法上の予防アプローチに基づく海洋科学調査の規律の研究
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18K01391
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
堀口 健夫 上智大学, 法学部, 教授 (10374175)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海洋科学調査 / 予防原則 / 予防アプローチ / 海洋法 / 国際環境法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際環境法上の予防アプローチ(precautionary approach)の発展が、海洋の科学調査活動に対する規律にいかなる影響を与えつつあるのか、主に商業目的の活動に対する規律との関係に着目しながら、解明することを目的とする。 2020年度は研究成果の3年目にあたるが、まず第1に、新型コロナ感染症の影響により前年(2019年)度において生じた調査等の遅れを補う作業を実施した。前年度に引き続き、漁業分野や海洋汚染分野における条約体制における科学調査活動の規律の発展について調査を継続し、前年度までに既に着手していた条約体制の調査の更新に加えて、これまで調査が及んでいなかった地域条約体制についても調査に着手した。また比較対象分野として、特に生物保全分野や南極分野の条約体制における規制の発展の把握に不十分なところがあったため、補完するための資料・文献の調査にも着手した。 第2に、以上の個別条約体制の調査もふまえたうえで、各条約体制を越えて妥当する海洋法の一般規則の検討も進めた。その際には、科学調査に関わる海洋法の一般規則(国連海洋法条約192条や240条など)について、その起草過程や学説・判例に検討を加えるとともに、引き続き予防アプローチに関する最新の研究・判例の把握にも努めた。また関連して、広く科学者倫理に関する文献の検討を行うとともに、環境規制や資源管理における科学の役割についての理解を深めるため、規制科学や科学哲学関係の文献の調査にも着手した。 本来は研究期間の最終年度であり、以上の調査・検討をふまえ、研究成果の取りまとめもさらに行う予定であったが、引き続き感染症の影響により研究計画の実施にやや遅れが生じているため、研究期間を1年延長して実施を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行とそれに伴う業務負担の増大、また研究代表者の体調不良により、予定していた出張や調査の一部など、研究計画の実施に遅れが生じている
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年延長することにより、研究計画実施に生じている部分的な遅れを取り戻し、また着実に研究の取りまとめを行うこととする。また延長した分、可能な限り調査のさらなる更新と検討の洗練に努めることとする。また、感染症による今後の社会状況に応じて、具体的な研究スケジュールや内容等を柔軟に見直すことができるように進めていく。
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Causes of Carryover |
主には新型コロナウイルス感染症の影響により、引き続き出張等を行うことができなかったため、次年度使用額(研究期間の延長分)が生じている。今後の社会状況をふまえ、可能であればそれらの作業を次年度に実施するとともに、場合によっては引き続き代替手段の整備・活用の費用に充てることとする。
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