2020 Fiscal Year Research-status Report
既存の海洋法秩序への挑戦ー国家管轄権外区域における海洋環境の保護
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18K01394
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
佐藤 智恵 明治大学, 法学部, 専任准教授 (80611904)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | EU海洋環境法 / 海洋生物多様性 / 漁業資源 / 国連海洋法条約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国家管轄権外区域における海洋生物多様性の保護のための新条約の作成に関する国連での議論を踏まえながら、研究対象を国家管轄権外区域における海洋環境全般の保護に広げることにより、国家管轄権外区域も含む、海洋生物・海洋汚染にも適用可能な、包括的な海洋環境保護法の態様をEU法及び制度も検討しつつ提案することである。本年度の研究成果としては、実効性ある海洋生物の保護のための法及び制度に関し、EU法の視点から考察を深め、複数の主権国家に適用可能な海洋環境保護法及び制度の態様についてとりまとめることができた。さらに、本年度はこれまでの検討結果を国際法の観点から総合的に考察し、包括的な海洋環境保護法の態様を提案することを目標としていたが、国際法的考察については、4月30日~5月2日に開催された第9回ケンブリッジ国際法会議(Webinar)のPanel 5: International Risk Regulation at Sea: Current Issues in Fisheries, Deep Sea Mining and the Protection of the Marine Environment (Friday, 1 May 2020)において"Necessity of Global Legal Framework for Protection of Marine Environment and the Role of Due Diligence and Effective Implementation of Rule of Law"というテーマで報告をし、海洋環境保護のために国家に求められるDue Diligenceのレベルが上がってきているのではないか、という点について、関連する国際条約及び判例を参照しながら論じたが、文書による公表には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの検討結果を国際法の観点から総合的に考察し、包括的な海洋環境保護法の態様を提案することを目標としていたが、国際法的考察については、4月30日~5月2日に開催された第9回ケンブリッジ国際法会議(Webinar)のPanel 5: International Risk Regulation at Sea: Current Issues in Fisheries, Deep Sea Mining and the Protection of the Marine Environment (Friday, 1 May 2020)において"Necessity of Global Legal Framework for Protection of Marine Environment and the Role of Due Diligence and Effective Implementation of Rule of Law"というテーマで報告をし、海洋環境保護のために国家に求められるDue Diligenceのレベルが上がってきているのではないか、という点について、関連する国際条約及び判例を参照しながら論じたに過ぎず、論文等の形での公表には至っておらず、当初の予定より研究成果の公表が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
実効性ある海洋生物の保護のための法及び制度に関し、EU法の視点から考察を深め、複数の主権国家に適用可能な海洋環境保護法及び制度の態様についてとりまとめることができたため、科研費の研究成果促進(学術図書)に応募し、成果を図書として出版予定である。国際法の視点からの研究の総括については、今年度十分に行うことができなかった、Due Diligence以外の国際環境法の原則に関し、国家管轄権外区域における海洋環境保護のための法的枠組みにどのような形で取り入れられるべきなのかという点を検討した上で、それらの国際環境法の原則を採用することが、既存の海洋法秩序に基づく海洋環境保護関連のルール及び国家管轄権原則をどのように変更するのか、「公海自由の原則」がどの程度制限されるべきか、その法的根拠は何か、探求する。
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Causes of Carryover |
今年度は予定していた国際学会に出席することができず、海外旅費の支出がゼロであった。海外出張は引き続き困難な状況が続くが、国際法及び海洋環境法に関する最新の議論をフォローするために図書を購入するとともに、オンラインでの国際会議に積極的に出席する予定である。
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Research Products
(3 results)