2022 Fiscal Year Research-status Report
消費者法における不招請勧誘禁止の立法化に向けた勧誘概念の横断的研究
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18K01397
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
上杉 めぐみ 愛知大学, 法学部, 准教授 (30583520)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不招請勧誘 / 広告規制 / 勧誘規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度に公表した研究成果は以下のとおり。
①「イギリス2008年不公正な行為から消費者を保護する規則への民事救済制度導入の背景 : 訪問販売での被害救済に焦点を当てて」(愛知大学法経論集231号1-36頁)では、イギリスでの不招請勧誘に対して法改正を行い、私法的効果を導入したことについて検証したものである。イギリスでは、消費者問題が生じた場合、行政や刑事的に対応していたが、それでは被害の回復が不十分であるとして民事的救済が導入された。その際に課題として複数の論点が示されており、今後、日本でも法改正がされる場合での参考になると考え、分析した。 ②「IR カジノにおける広告規制と勧誘規制」(愛知大学法経論集232・233号33-51頁)は、広告規制と勧誘規制を一つの法律において導入しているIR法に焦点を当てて、勧誘と広告の違いを分析した。導入の際に参照した風俗営業法によれば、IRカジノの広告は、そもそも開業が推奨されない性風俗にならったものであり、展開することを厳格にしている。そして、勧誘規制は売春防止法にならい規制を導入したということなので、ここでの勧誘の概念は公衆の面前で行う対面でのものであり、広告はそれ以外の方法というように分類することができた。 ③「ターゲティング広告の不意打ち性と規制導入の課題」(河上正二先生古希記念論集)では、従前、訪問販売や電話勧誘販売などの事業者との双方向・リアルタイムでの勧誘を不招請勧誘の規制対象とすべきではないかという仮定を打ち立てていたが、近時のターゲティング広告は、リアルタイムではないものの、消費者への影響力は、訪問販売や電話勧誘販売と同等と解される。こうした状況では、リアルタイムという基準ではなく、別の基準をもうける必要があるという結論に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
出産・育児休業とコロナでの活動制限、子どもの入院看護が重なり、思ったように研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本科研費において最終年度になるので、所属している研究会において1、2回報告させていただき、構成員の先生方からご意見を頂戴し、論文として公刊できるようにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
申請内容について、旅費の計上が多くを占めていたが、新型コロナウイルス感染症対策のために対面での研究会開催や学会開催が中止となり、旅費を執行することが難しかった。しかし、来年度は、対面での研究会や合宿を年間3回程開催することを予定しており、協力者の先生方の旅費や自分の合宿参加のための旅費として予算を執行することを予定している。
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Research Products
(3 results)