2019 Fiscal Year Research-status Report
高度情報化社会における取引の種類、消費者の類型に応じた消費者法制についての研究
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18K01399
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川和 功子 同志社大学, 法学部, 教授 (70295731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 宏直 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (00293077)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 消費者法 / アメリカ法 / デジタル・コンテンツ / 契約法 / デジタル・サービス / 売買 / EU法 / イギリス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
デジタル・コンテンツ及びデジタル・サービス供給契約における期待される目的物の履行の水準、救済等についてEU法、英国法を踏まえた比較法的研究行い、「デジタル・コンテンツ及びデジタル・サービスの供給契約の一定の側面に関する欧州議会及び理事会指令についてー契約適合性についての規定を中心にー」と題する論文を執筆した。この研究をもとに、EUと日本におけるデジタル・コンテンツ及びデジタル・サービス供給契約法制の比較と課題に関する研究会を立ち上げ、ドイツ法、日本法、救済についての観点も加え、2020年6月の比較法学会総会のミニ・シンポジウムで報告責任者となり共同報告を行う予定であったが、学会の開催が新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)のため中止となり、現在のところ、来年度に延期された学会報告のためこの分野における新しい展開についてさらに研究をすすめるため準備を行っている状況である。 また、2019年の法とコンピュータ学会において、「アメリカにおける キャッシュレス規制の動向 ー現金払いを受け入れない小売店への規制」と題する報告を共同で行った。成果は学会誌等で掲載する予定である。報告は、アメリカにおいてキャッシュレス店舗を規制する州法、市の条例が制定されている状況に鑑み、キャッシュレス店舗を規制する州法、条例が成立した背景、関連する平等原則に関わる米国の連邦法と州法について言及し、キャッシュレス店舗を規制する州法、市の条例の概要について紹介するものである。キャッシュレス体制の実施が、低所得者に対する差別をもたらすとの指摘がかねてからなされていることから、今後脆弱な消費者に対する消費者法制を考慮していくにあたり、示唆を与える課題であると思われる。 さらに、消費者法判例百選に掲載予定の「ラグビークラブチームがした宿泊契約」についての判例評釈を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
デジタル・コンテンツ及びデジタル・サービス供給契約における期待される目的物の履行の水準、救済等についてEU法、英国法を踏まえた比較法的研究行なった。この研究をもとに、ドイツ法、日本法、救済についての観点も加え、2021年度の学会報告を目指し、この分野における新しい展開について更に研究をすすめ、来年の研究報告が一層充実したものになるよう、共同研究者とも活発な意見交換をしながら、準備を行っている状況である。 また、2019年の法とコンピュータ学会において、「アメリカにおける キャッシュレス規制の動向 ー現金払いを受け入れない小売店への規制」と題する報告を共同で行い、成果は学会誌等で掲載する予定である。さらに、アメリカにおけるキャッシュレス規制と平等原則に関わる規定について米国における判例の動向などについても検討する論文を執筆している状況である。 さらに、消費者法判例百選に掲載予定の「ラグビークラブチームがした宿泊契約」についての判例評釈を執筆した。この事例は、ラグビーチームの宿泊が部員のインフルエンザ感染のためにキャンセルされた際のキャンセル料の返還について争われたものである。団体であるラグビーチームの「消費者性」、インフルエンザ感染という解除理由の評価について検討する裁判例であることから、消費者の類型に応じた消費者法制について検討する本研究課題とって有意義な視点を加えることとなったと考える。 外部講師を招いてデジタル社会におけるヨーロッパの新しい契約法について(台風でキャンセル)、消費者法の現代的課題ーデジタル・プラットフォームと消費者といった講演会も企画し、当該分野における専門家や講演会との有益な意見交換も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
EUと日本におけるデジタル・コンテンツ及びデジタル・サービス供給契約法制の比較と課題については、比較法学会における来年度の学会報告を目指し、この分野における新しい展開について、オンラインで研究会を開催するなど工夫し、更に研究をすすめ、来年の研究報告が一層充実したものになるよう準備を行っている状況である。 アメリカにおけるキャッシュレス規制と平等原則に関わる規定、判例について米国における判例の動向などについても検討する論文を執筆しており、脆弱な消費者に対する差別の問題を含む消費者法制についての研究を進めていきたいと考えている。 さらに、アメリカにおけるデジタル・プラットフォーム提供者の責任について論じた判例についての論文や、『レクチャー消費者法』に掲載予定の、アメリカの消費者法の概要についての論文を執筆する準備を開始している。 ミニ・シンポジウムを企画していた学会の開催が新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)のため中止となり、シンポジウムの準備のため予定していた研究会もキャンセルせざるを得ない状況となり、研究会、講演会を開催することが困難な状況にあるが、オンラインで研究会等を開催するなど、対策を検討して克服していきたい。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた書籍が出版されなかった。書籍、消耗品、国内旅費、海外旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)