2020 Fiscal Year Research-status Report
高度情報化社会における取引の種類、消費者の類型に応じた消費者法制についての研究
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18K01399
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川和 功子 同志社大学, 法学部, 教授 (70295731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 宏直 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (00293077)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 消費者法 / アメリカ法 / デジタル・コンテンツ / 契約法 / デジタル・サービス / 売買 / EU法 / イギリス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は、高度情報化が進む現代社会において、情報・交渉力などの格差が存在する当事者間の取引において、取引の客体である、商品やサービスの種類、これらの商品やサービスが供給される際の取引形態、当事者の行為態様、取引にあたり、広告を含む契約前後にわたり提供される情報、契約条項を含む取引条件、消費者、高齢者、幼児等、取引の主体である当事者の類型等を踏まえた消費者法制についての総合的研究を行うことを目標としている。 研究成果としては、デジタル・コンテンツの指令提案、デジタル・コンテンツ指令の契約適合性の規定についての論稿(「デジタル・コンテンツ及びデジタル・サービスの供給契約の一定の側面に関する 欧州議会及び理事会指令についてー契約適合性についての規定を中心にー」(同志社法学71巻6号),「デジタル・コンテンツ及びデジタル・サービス供給契約における契約適合性について-EU指令2019/770, 2019/771及びイギリス2015年消費者権利法」(Law & Technology 89号))、デジタル・プラットフォーム事業者が商品の売主として、商品の欠陥による人身損害について製造物責任を負うかどうかが争われた裁判例についての論稿(「アメリカにおけるデジタル・プラットフォーム事業者の責任について 」(消費者法研究8号) )、キャッシュレス店舗は貧困者に対する差別を行うものであるとして規制するアメリカの州法、市の条例を紹介する論稿(アメリカにおけるキャッシュレス規制と平等原則に関わる規定について-現金払いを受け入れない小売店への規制,同志社法学72巻8号)のほか、消費者契約法における消費者該当性について論じた「ラグビークラブチームがした宿泊契約(東京地判平成23・11・7)」と題する判例評釈を消費者法判例百選に執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果としては、アメリカにおける消費者契約法リステイトメント草案とソフトウェア契約に関する論稿、EUおよびイギリスにおけるデジタル・コンテンツおよびデジタル・サービス供給契約の契約適合性に関する論稿を公表し、デジタル・プラットフォーム事業者が商品の売主として厳格製造物責任を負うかについて争われたアメリカの裁判例についての論稿、キャッシュレス店舗は貧困者の差別を行うものであるとして規制するアメリカの州法、市の条例について論じた論稿を公表し、消費者の範囲について考察する研究成果として、消費者契約法における消費者該当性について論じた「ラグビークラブチームがした宿泊契約(東京地判平成23・11・7)」と題する判例評釈を消費者法判例百選に執筆した。このことから、概ね研究成果が達成できており、予定より進捗できていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年から2020年にかけて、英米法、EU法におけるデジタル・コンテンツ契約、デジタル・サービス供給契約、デジタル・プラットフォーム取引についての論文を公表、執筆し、国内法については消費者の範囲について考察する評釈を公表した。今後の研究については、①共同研究も視野にいれ、ドイツ、フランス等、より多くの国の法制度を加えて比較法研究を行うこと、②デジタル化社会における新しい取引について、従来の取引と異なる点が法制度全般に与える体系的な影響についてより深く考察を行うこと、③新しい取引類型が、取引の相手方である様々な消費者の類型にいかなる影響を与えるかについて考察を行うこと、④①②③を踏まえて、法規制だけでなく、紛争解決処理や自主規制等も含めたふさわしい法制度の在り方についてより深く考察すること、を目標に掲げ、国内外におけるこの分野の専門家の研究者の協力も得て、研究会も積極的に行って研究を遂行していく。デジタル化社会の急速な発展により、関連する法制度等についての研究は喫緊の課題である。加えて新型コロナウイルス感染症の影響であらゆる場面でデジタル化が加速しており、法制度に関する本研究課題は緊急性が高く、より積極的に研究活動を展開していきたいと考える。
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Research Products
(3 results)