2021 Fiscal Year Annual Research Report
A theoretical and empirical research on the impacts of electoral reforms and political reforms
Project/Area Number |
18K01405
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
川人 貞史 帝京大学, 法学部, 教授 (10133688)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 議院内閣制 / 比例代表制 / 選挙区人口の較差 / 定数配分 / マジョリテリアン・モデル / コンセンサス・モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
①議院内閣制における与野党関係のモデル 世界における議院内閣制の民主的政治過程は,イギリス,フランス,アイルランド,日本などのマジョリテリアン・モデルと,ドイツ,オランダ,イタリア,ベルギー,北欧諸国などのコンセンサス・モデルに大別される.本年度の研究では,イギリス,フランス,日本の政権存続と立法過程を分析するモデルには共通した分析枠組みが用いられていることを示し,これに対して,コンセンサス・モデルには,ドイツのように連邦制と強力な二院制が制度的拒否権プレイヤーとして機能することでコンセンサス決定が行われるモデルと,単一制国家において拒否権プレイヤーが存在せず,政府が議題設定権を独占していない状況において,多数決による政策決定が政党間交渉を経て各党が許容し賛成するアンカバード・セット(uncovered set)の範囲に落ち着くとする分析モデルとが用いられていることを指摘した.この分析結果は国会図書館政治議会課における研究会(オンライン)で報告した. ②都道府県への定数配分に用いられる比例代表制の諸方式と選挙区人口の較差の分析 衆議院小選挙区定数の都道府県への配分のために検討された比例代表制の諸方式(ドント方式,サント・ラグ方式,アダムズ方式,および1人別枠方式+ヘア式最大剰余法)が,都道府県の議員1人あたり人口の較差を生じさせるメカニズムについて分析を進め,従来の1人別枠方式は比例代表制の方式を逸脱しており,人口の較差を解消できないことを確認するとともに,他の方式は議員1人あたり人口の最大較差が1.66倍~1.95倍であって,アダムズ方式が採用されたことには合理的根拠があることが確認した.ただし,法律は都道府県内の区割りが全国の選挙区人口の最大較差が2倍以上にならないようにすることと規定しているため,選挙区人口の均衡を図るには不十分であり,法律改正が必要であることも確認した.
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Research Products
(1 results)