2019 Fiscal Year Research-status Report
Country-by-country comparison study about compact city policy and local government management in super-old society
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18K01408
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
辻 琢也 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (20227391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 政穂 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (70313054)
神山 弘行 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (00361452)
片山 良太 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (20813942) [Withdrawn]
泉 智徳 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (90847055)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 行政学 / 自治体経営 / コンパクトシティ / 中心市街地活性化 / 合計特殊出生率 / 地方創生 / 日独比較 / 日仏比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
急激な人口減少と超高齢化に直面する日本においては、都市構造の集約化を図り、老朽化・遊休化の進む上下水道や道路・学校施設の効果的な更新を行い、必要な建築物や既成市街地の更新を図らなければならないが、既成市街地の再整備や郊外部の開発抑制は、容易に進んでいない。 そこで、本研究は、公共公益施設や公共交通の整備・更新状況、市町村合併の有無等、様々な要因との相関関係に留意しながら、コンパクトシティ化に先駆的に取り組んでいる都市や地区の人口動態を実証分析する。翻って、人口減少社会における都市構造の集約化戦略や中心市街地活性化対策等、コンパクトシティのあり方を実証的に明らかにし、人口減少社会における新しい行政システムのあり方を提示しようというものである。 2019年度においては、2018年度に欧州(ドイツ・フランス)における人口の維持・増加に成功している都市の調査等を行ったことを踏まえ、急激な人口減少と超高齢化に直面する日本国内に着目し、人口置換水準の2.07を超える合計特殊出生率を記録し、かつ社会動態が2016年度から人口減少にストップをかけることに成功している沖縄県宮古島市や、離島を除く地域において2.0近い合計特殊出生率を記録し、社会減少も相当程度抑制できている鹿児島県鹿屋市における人口動態の分析や都市構造集約化の状況、中心市街地対策の状況等に関する現地調査を行ったところである。 2020年度においては、2018年度からの2ヵ年で収集したデータをもとに国際的、あるいは国内都市の間における人口動態の状況や人口問題対策や都市計画、それらを取り巻く制度に関する比較を行い、今後の少子化対策やコンパクトシティ政策、中心市街地活性化対策のあり方等に関する提言を行うことが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度中に、地域単位の集約的な実現しているドイツの都市(シュテンダール市、ライプツィヒ市等)や人口増加対策に成功しているフランスの都市(マントノン市、シャルトル市等)への現地調査を実施した。 2019年度においては、2018年度に収集した調査の結果をもとに、国内の事例についての研究を進め、合計特殊出生率や人口の社会動態の維持・増加を実現しているモデル的な都市である沖縄県宮古島市や鹿児島県鹿屋市等の国内都市における現地調査や各種統計データ・空間データ等を活用しながら、モデル都市における人口動態や都市計画等の状況やその実態について知見を深めた。 また、当該年度においては、これらのデータ等も活用しながら、学会等での報告活動(研究代表者による「2019年度日本行政学会総会・研究会」(2019年5月25日)や「第33回自治体学会堺大会」(2019年8月24日)、研究分担者による「日韓地域政策研究会第20回会議」(2019年11月27日))のほか、複数の学術誌(『地域開発』、『地方財政』、『税』)への投稿を通じた成果の公表を行うに至ったところである。
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Strategy for Future Research Activity |
既に2019年度から、当初、2020年度に行う予定であった成果の公表を目的とし、これまでに収集したデータを基にした成果の公表等を開始しているところではあるが、2020年度においては鹿児島県鹿屋市において研究代表者らが人口問題対策についてのアドバイザー等を務めることもあり、これまでの研究成果や残された課題(国内都市と海外都市、あるいは国内のモデル的都市とそれ以外の都市とを分ける制度的要因、社会的要因、環境的要因との関連についての整理、都市計画と人口動態との関連についてのより詳細な分析等)に関し実証的な調査・分析を行い、国内都市全体に敷衍して理解することのできる政策的な示唆を得ながら、具体的に特定の地域における政策的な提言につなげていくほか、これに並行して各種学術誌への投稿や講演等の機会を通じた成果の公表等を積極的に行っていくこととしている。 また、本研究においては、研究代表者が研究の総括及び調査対象地域の基礎調査・分析、吉村氏が税収シミュレーションの分析、神山氏が税収シミュレーションの調査をそれぞれ行うが、研究分担者である吉村、神山両氏は、租税分野で多くの研究実績を有しており、税収シミュレーションについて、これまでの研究よりも一層詳細な分析が可能となる。
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Causes of Carryover |
2019年度における国内調査については教員活動経費等別の予算を活用して2019年度内の使用経費を節減し、2020年度の調査活動に使用することとなったため。
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