2018 Fiscal Year Research-status Report
国立研究開発法人における組織マネジメントと評価のあり方に関する研究
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18K01409
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
南島 和久 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (10404831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 圭多 神戸学院大学, 法学部, 講師 (60755388)
山谷 清秀 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 講師 (20803084)
西山 慶司 山口大学, 経済学部, 准教授 (30791842)
山谷 清志 同志社大学, 政策学部, 教授 (90230599)
宮崎 英治 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (90323815)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国立研究開発法人 / 独立行政法人 / 国立研究開発法人 / 独立行政法人評価 / 研究開発評価 / 政策評価 / アカウンタビリティ / 組織マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の「国立研究開発法人における組織マネジメントと評価のあり方に関する研究」の目標は、以下の2点であった。第1に、複数の国立研究開発法人及び有識者を対象としてヒアリングを行うことである。第2に、研究会で打ち合わせを行い、具体的な研究成果の方向性を定めることである。 上記の第1目標については、総合科学技術・イノベーション会議事務局、科学技術政策を専門とする有識者、国立研究開発法人国立循環器病研究センター、宇宙航空研究機構に対して聞き取りを行った。また上記の第2目標については、学会・研究会において打ち合わせを行った。なお学会については、日本評価学会において、関連するセッションを企画し、議論を深めることができた。 上記のうち重要であるのは、国立研究開発法人であるところの国立循環器病研究センター及び宇宙航空研究機構に対する聞き取りである。聞き取りに際して重視していた論点は、独立行政法人制度から国立研究開発法人への移行に際して、組織内部のマネジメントのあり方や評価のあり方について、どのような点が変わったのか、あるいは変わらなかったのか、さらには変えるべき点や課題はどこであるのかなどであった。 上記の論点についての聞き取りの結果からは、中期目標や中期計画のあり方、組織マネジメントや評価のあり方などについては、大枠での変化はないという点が浮き彫りとなった。しかしながら、研究開発法人制度の趣旨である研究開発の推進やその最大化に照らして現状のままでよいのかといえば、必ずしもそうではないということが研究会構成員の共通認識として浮かび上がってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に関係する研究面での進捗状況については、おおむね順調に進捗しているということができる。その理由は以下の3点である。 第1に、いくつかの中間的な研究成果が出ていることである。具体的な研究成果としては、論文3本、学会及び研究会での報告8本、著作1本であった。これらの研究のなかには、上記の聞き取り調査等によって得られた知見をふまえて執筆されたものもふくまれている。 第2に、平成31年度の研究の方向性を共有することができた点である。具体的には宇宙航空研究開発機構の研究開発部局の専門職員に対してアンケートを実施する方針が定まったこと及び実際にその一部について前倒しして実施していること(集計・分析については令和元年度に行う)、このアンケートの分析やこれまでの知見をふまえて宇宙航空研究開発機構の幹部職員(評価担当)に対する聞き取りを行う方針を固めたこと(令和元年度に実施予定)、さらにこれらをふまえて特定国立研究開発法人(物質・材料研究機構、理化学研究所、産業技術総合研究所の3法人)への聞き取りを行う方針を固めたことなどである。 第3に、研究成果について、当初の計画通り、出版を念頭におきつつ研究を推進することとしたことである。なお、関連する業績として構成員のうちさらに1名が、政策評価関する書籍を出版する計画を立てている。このほかに研究会全体として、共著の出版物を刊行する計画がある。これらのうち、研究会の共著の出版物については、国立研究開発法人制度が発足して日が浅いことをふまえ、それがどのような制度として運用されているのかという点を具体的に明らかにすること、またどのような制度として運用されるべきかを描き出すことを目指すこととしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策及び課題については、以下の3点を記しておきたい。 第1に、国立研究開発法人の組織マネジメントと評価のあり方についての実態の把握である。研究開発法人については、特定国立研究開発法人とその他の国立研究開発法人の2種類がある。このうち優先的に取り組むべきなのは、特定国立研究開発法人特措法にもとづく特定国立研究開発法人であると考えている。このため、優先的に特定国立研究開発法人の調査を進めることとしている。 第2に、国立研究開発法人内の研究開発に従事する専門職員の意識の解明である。このため、宇宙航空研究開発機構に協力を仰ぎ、本科研研究課題との共同研究として、評価のあり方に関するアンケート調査を実施し、その分析を進めることとしている。また、その内容や結果を宇宙航空研究開発機構側にフィードバックし、研究開発を最大化するための具体的な方策について検討することとしている。 第3に、国立研究開発法人の組織マネジメントや評価のあり方を健全化するための課題や論点についてである。今後の研究のなかで明らかにしていかなければならない最大の課題は、組織マネジメントの評価、すなわち独立行政法人評価や組織管理のための評価と研究開発評価が統合できるのかという点である。国立研究開発法人について文部科学省は、「研究開発の持つ長期性、不確実性、予見不可能性、専門性といった特性」があることから、これらの特性を踏まえた「目標設定・評価を行うことがこれまで以上に求められる。」としていた。またあわせて、「国立研究開発法人に係る目標設定・評価等が、科学的知見や国際的水準等に即したものとなる」ことも強調していた(文部科学省科学技術・学術政策局「国立研究開発法人審議会について」2015年4月)。この論点の解明に近づくことができるのかが本研究課題の鍵となるものと考えているところである。
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Causes of Carryover |
令和元年度に複数の国立研究開発法人に聞き取り調査を実施することとしていること、および秋の日本評価学会(高知大学)にて報告を企画していることから、平成30年度の旅費を節約し、令和元年度の予算に回すこととした。
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Research Products
(12 results)