2022 Fiscal Year Research-status Report
日中戦争における日本と中国共産党の相互関係:マルチ資料と複眼的視点による学術研究
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18K01417
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
鹿 錫俊 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (20272784)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本 / 中国 / ソ連 / 抗日 / 防共 / 日中戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度では、コロナ禍による規制は以前より緩和されたところがあったが、2022年2月にロシアの侵攻によるウクライナ戦争が勃発した。そのため、予定したロシアなどでの海外調査は引き続き実現できなかった。資料調査はネットでアクセスできるものと現地の関係者に依頼できるものを中心に行わざるを得なかった。こうした厳しい環境の中、研究の面では現在の条件で可能な項目に尽力し、「防共」と「容共」、「抗日」と「反ソ」をめぐる日本・中国・ソ連・ドイツの複雑な競合の究明を目指して、更に下記の成果を獲得した。 (1)単著論文「中蘇締約後国民政府路径分岐的発展與終結(中ソ不可侵条約締結後、国民政府における路線対立の展開と終結)」を刊行し、1937年8月から1938年1月までの間、①ソ連要因と中国の和戦再選択との関連、②「防共」と「抗日」をめぐる国民政府の葛藤という二つの問題を中心に新しい見解を提示した。 (2)中国社会科学院近代史研究所主催の第8回近代中外関係史国際シンポジウム「近代国際秩序的変遷与中外互動」(2022年10月29日、オンライン)で学術報告を行なったうえで、それを基とした単著論文「虚實相輔與正反併用:圍繞防共話語的中日攻防(防共概念をめぐる日中間の攻防:1937年7-9月間の史実の一考察」を刊行した。 (3)スタンフォード大学フーバー研究所主宰の国際共同研究に力を注ぎ、2022年12月に共著書である『抗戰與中國的命運(抗日戦争と中国の運命)』(郭岱君主編『重探抗戰史』第3卷)を出版した。同書は香港の『亜洲週刊』により「2022年度十大好書」に選ばれた。 (4)世界に向けて発信するよう、既発表論文を基礎に新資料と再検討を加え学術著書としてまとめる作業を推し進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の継続とウクライナ戦争の勃発などにより、申請時に計画したロシア、米国、中国大陸、台湾などへの海外調査を実施できなかった。オンライン調査などに努力したが、克服できない限界もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
可能であるならば、まずアメリカや中国大陸、台湾などでの研究調査をやり遂げる。なお、ロシアでの研究調査が無理な場合に備えて、他の調査で補うこと、研究計画を調整することなどを工夫する。
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Causes of Carryover |
【理由】コロナ禍の継続とウクライナ戦争の勃発などにより、申請時に計画したロシア、米国、中国大陸、台湾などでの海外調査を実施できなかった。なお、海外での書籍などの購入もできなかった。
【使用計画】まずアメリカや中国大陸、台湾などでの研究調査を優先的にやり遂げる。また、可能である場合、本研究の集大成としての国際研究集会を開催する。
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