2019 Fiscal Year Research-status Report
戦前期日本の軍法務をめぐる実証研究─陸軍法務官・堀木常助を中心として
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18K01421
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
西川 伸一 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (00228165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 雄太 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (70584423)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 法務官 / 堀木常助 / 軍法会議 / 軍事司法 / 最高裁裁判官 / 政軍関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は前年度に実施した調査研究の成果を踏まえ、戦前期日本における軍事司法やそこで枢要な役割を果たした法務官が戦後日本の司法制度に与えた影響の度合いを可視化すべく、裁判官幹部人事の実態解明をはじめとする制度的側面に注目した分析を実施した。また、平成30年度に曽孫と孫にあたる方から打診を受けて、譲受に関する調整を進めていた陸軍法務官・堀木常助の保管資料を受領し、本格的な分析に着手した。併せて、研究協力者を雇用し、収集した史資料の整理・分析を実施した。加えて、平成30年度に約半分(20本)の音声反訳および内容分析を実施した故伊藤博ニューヨーク州立大学プラッツバーグ校教授から研究代表者が譲受した法務官経験をもつ最高裁裁判官経験者へのインタビュー・テープの解析作業について、令和元年度は残余のテープ(20本)の音声反訳および内容分析を実施した。いずれの作業も実施最終年度を迎える本研究の目的を達成するために不可欠な作業である。 さらに、制度としての法務官や軍法会議を構築する前提条件である政軍関係についても、軍部を含む行政府(内閣)に対する立法府(議会)による管理・統制のあり方に注目し、その実態解明に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の調査研究の成果は、令和2年度以降の調査研究を大きく発展させることが期待されるものであり、当初計画のスケジュールとは前後するものの、全体としては概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度以降の研究の推進方策について、引き続き当初計画に従い、作業に取り組むとともに、必要に応じて新たな研究課題を設定するなどして、本研究の目的達成を図る。
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Causes of Carryover |
令和元年度は、前記(研究実績の概要)の通りの調査研究を実施したが、本研究に関連する国内での史資料の収集を優先させた結果、申請段階で予定していた研究協力者や同分野の研究者とのミーティングや外交・安全保障に関する研究が盛んな海外で開催される研究会への参加を実施しなかったため、次年度使用額が生じた。しかし、他の作業は当初の想定以上に進捗しており、全般的には本研究は順調に遂行されていると考える。 令和2年度以降については、上記ミーティングや意見交換を実施するのみならず、他の研究や研究成果の発表などを積極的に実施し、申請段階での研究計画を達成しつつ、かつ本研究の目的を達成するよう精力的に研究を遂行したいと考えている。 なお、令和元年度は第4四半期(令和2年1月~3月)に米国議会図書館)、米国国立公文書記録管理局および英国国立公文書館において、諸外国における軍事司法の制度的特徴や法務官のあり方に関する史資料および第2次世界大戦後の連合国軍による占領期に収集された軍法務に関する史資料の収集・分析を行うことを予定していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、渡航困難となったため、令和2年度に実施する方向で調整を進めている。
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Research Products
(7 results)