2018 Fiscal Year Research-status Report
国家緊急権とデモクラシー:ワイマール共和国における大統領緊急権の実像
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18K01429
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
遠藤 泰弘 松山大学, 法学部, 教授 (30374177)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国家緊急権 / ドイツ政治思想史 / ワイマール共和国 / ワイマール憲法48条 / フーゴー・プロイス / カール・シュミット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ワイマール共和国における非常権限の実像を明らかにするために、それが導入された経緯の究明を進めた。具体的には、ワイマール共和国の国民議会における、ワイマール憲法48条をめぐる審議過程について、国会議事録を中心に分析を進めた。 現在までのところは、まずフーゴー・プロイスの大統領制構想の前提をおさえるため、自治の原理に基づくプロイスの法治国家概念を踏まえた上で、プロイスのビスマルク憲法改正提案およびワイマール憲法草案の分析を通じて、彼の直接公選大統領制構想を確認した。 その上で、1919年1月25日以降の諸邦委員会における審議過程および、同年2月28日以降の国民議会憲法草案第一読会における審議過程、同年3月4日以降の国民議会憲法委員会第一読会における審議過程、同年6月3日以降の国民議会憲法委員会第二読会における審議過程を分析し、ワイマール憲法48条の条文の制定過程を跡づけ、連邦諸国家に対する中央権力の権限が増大していく過程を明らかにした。 以上の研究成果は、「ヴァイマル憲法48条をめぐるドイツ国民議会における審議過程(1)」および「ヴァイマル憲法48条をめぐるドイツ国民議会における審議過程(2)」と題した論文を執筆し、紀要で連載を開始した。今後は引き続き連載を継続し、1919年7月2日以降の国民議会第二読会および第三読会における条文の変遷およびその審議過程を跡づけ、ワイマール憲法48条の条文が完成されていく経緯を究明したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワイマール憲法48条が導入された経緯について、国会議事録に基づいて分析を進めるとともに、論文として取り纏め、紀要上で連載を開始することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1919年7月2日以降の国民議会第二読会および第三読会における条文の変遷およびその審議過程を跡づけ、ワイマール憲法48条の条文が完成されていく経緯を解明し、紀要の連載論文を完成させるとともに、上記研究成果を踏まえた上で、ワイマール憲法48条の解釈をめぐるカール・シュミットとプロイスの議論の分析を進めていきたい。
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