2019 Fiscal Year Research-status Report
フランスにおける自治体幹部職任用の変化に関する研究
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18K01440
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
玉井 亮子 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (10621740)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公務員 / 公務員制度改革 / 都市政策 / キャリア・パス / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
フランスにおける自治体の環境変化と自治体人事システムとの関係性を掴むために、2000年代以降の行財政改革、地方制度改革とそれに伴う都市政策の展開に関する研究に取り組んだ。自治体の状況については、自治体層間で権限移譲が活発化していること、特に大都市への権限移譲が実施されていることを把握した。それと並行して、地方分権化が深化するほど、地方の責任や自由度は膨張し、自治体間競争が過熱するのだが、それと同時に逸脱した自治体活動を防ぐ為に、事前に国が設定する「規則」の厳格化が進んでいること、また国が自治体の行動を枠付けする現象がみられるという言説がフランスでは述べられていること、及びその実態をつかんだ。一方、自治体人事システムについては、昨年度に引き続き、フランスの各自治体層における自治体幹部職について、どのような職歴、知識、能力を持つ人材を任用しているのか、資料、文献を通じて調査を行った。特に、大都市におけるフランス自治体幹部職員任用に関する調査を実施したところ、大都市での職務経験を持つ者のキャリアパスでは、都市を中心に、勤務する自治体を変えながら、キャリアを積み重ねていく者が含まれていることが分かった。このような検討を踏まえ、「自治体層の間での権限移譲とそれに伴う新たな職員移動の実態」、また「自治体職員任用と国の公務員制度改革との関係性」といった2つのテーマを設定し、論文を執筆すると共に、学会発表を行った。1つ目のテーマについては、2019年度カナダ政治学会研究会(Canadian Political Science Association Conference)での発表論文及び報告に反映した。また学会報告をベースに、英語論文1本を執筆し、公表した。2つ目のテーマについては、雑誌に投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地方制度改革に伴う職員移動について、文献、資料を通じて調査を行った。そこから、大都市幹部職に就いている者たちのキャリア・パスを掴むことができた。また自治体職員任用に対する国の政策の影響を検討し、国と地方の関係性についての検討が深まった。これらの検討について、内容の一部ではあるが、学会で報告し、論文として公刊している。このような状況を踏まえ、研究の進捗状況を判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、文献、資料を通じた調査を実施する。また都市政策に関する研究についての基礎的文献の精読、また分析モデルの把握に努める。社会情勢を精査しつつ、今年度の現地ヒアリング調査の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
令和元年度は文献調査、インターネット調査を実施し、情報を収集し、分析することに努めた。昨年度からの調査を踏まえた現地調査を予定していたが、社会情勢の変化等、複数の事情により、調査を中止せざるを得なかった。今年度も引き続き、現地研究者との連絡、研究交流を行いつつ、調査を行うと共に、現地調査の可能性を探りたい。
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Research Products
(3 results)