2020 Fiscal Year Research-status Report
フランスにおける自治体幹部職任用の変化に関する研究
Project/Area Number |
18K01440
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
玉井 亮子 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (10621740)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 公務員 / 公務員制度 / 都市政策 / キャリア・パス / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を通じて収集したデータに基づき、大都市圏において地方公務員が上級幹部職に就いているケースが複数、見られること、またそのようなポストに就く地方公務員は、勤務先変更を重ねながら、そのキャリアパスを積み上げている実態を掴んでいる。そのような地方公務員がいる一方で、国家公務員が依然として、地方自治体幹部職として勤務し、大都市圏の上級幹部職ポストに就いているといった事実も把握している。そこで令和2年度は、フランスの大都市制度を中心に検討した。具体的には、(1)大都市制度の制度改正と自治体人事への影響、と(2)都市政策に関する分析を踏まえた理論動向の把握、についてである。(1)については、制度改正に伴う広域連合体同士の合併や自治体層間での権限移譲を背景とし、幹部職員も含め、職員移動が生じていること、大都市圏の状況を熟知している職員との評価から、国の地方出先機関職員としてキャリアを積んだ国家公務員が大都市幹部職員に抜擢されているといった事例を見つけた。また自治体層への国の介入手法に変化はみられるものの、大都市圏での政策形成上、国の役割の重要度は1980年代の地方分権化政策以前よりも停滞していること、大都市圏間での開発競争がみられること等から、(2)については、中央周辺関係論に都市レジーム論等も反映した分析が必要であることが分かった。これらの内容を踏まえ、主に大都市制度の制度改正を扱った論文が、本の1章として公刊された。 また本年度は、日本DMATに関する研究を行い、論文を執筆した。本論文は、令和3年度発行雑誌に掲載予定である。これは日本の事例であるが、全国レベルでの職員移動が生じる場合、各職員の専門知、執務知識の蓄積手法や教授法、また経験知から形式知として所属組織への還元の仕方といった点など、本研究に応用できる点が含まれるため、本研究と並行して行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度から引き続き、地方公務員のキャリアパスに関するデータ収集を行うとともに、フランス公務員人事システム、都市政策に関する文献調査を行った。その結果、論文を公刊することができている。今年度は特に、都市政策についての理論動向を把握することができた。その一方で、新型コロナの感染拡大といった予期できなかった情勢変化のため、令和2年度も、当初、計画していた現地調査を行うことが出来なかった。令和3年度は文献調査、現地調査の準備を進めるとともに、オンラインで実施可能な調査を行うなどして、研究の遅れを取り戻すべく、努めたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
収集した地方公務員キャリアパスのデータを、理論的な分析に結び付けるべく、令和3年度は、公務員人事システムと中央周辺関係に関する理論動向を整理し、分析の枠組みを精緻化させる。令和3年度末までに、これらの研究をまとめ、論文として公刊することを目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大に伴う情勢変化によって、当初、予定していた海外での現地調査を行うことができなかった。状況を注視しながら、現地調査の可能性を探りたい。
|
Research Products
(1 results)