2021 Fiscal Year Research-status Report
フランスにおける自治体幹部職任用の変化に関する研究
Project/Area Number |
18K01440
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
玉井 亮子 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (10621740)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地方公務員制度 / フランス / 地方議会選挙 / 公務員制度改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年3月及び6月の市町村議会選挙、2021年6月の県議会選挙、州議会選挙と、フランスでは地方議会選挙が行われた。そこで令和3年度は、(1)自治体首長の党派性と幹部職任用の関係性、について検討するとともに、(2)地方公務員制度改革の動向を確認した。また昨年度に続き、(3)都市政策に関する地方制度改革を追いながら、都市政策に関する理論動向の把握、を行った。(1)については、選挙を経て右派、左派の党派が交代となった自治体では特に、タイミングが同一とは限らないが、首長の退任と共にし、自治体幹部職が交代するケースを多数、確認した。また選挙後、党派交代の起こった自治体で勤務していた自治体幹部職が、“同じ州内”といった近隣地域の自治体であり、元々、所属していた党派と同じ党派の首長が選挙で勝利している自治体の幹部職へと転身するケースを、今次の選挙においても確認している。理論的な検討はこれからではあるが、実態として、党派に沿って自治体幹部職が移動している実態は確認できた。また、現地研究者の協力を得ながら、現地調査を見据えたパイロット調査として、自治体幹部職任用に関する自治体アンケート調査を実施した。(2)については、マクロン政権下で実施されている「公務員制度変革に関する2019年8月6日法」に基づく公務員制度改革全体への改革の内容について、確認した。例えば、公務員として正規採用は一定数、維持しながらも、契約職員任用に関する規制を緩和する制度改正が相次いでいること、公務員労働組合と政府行政当局との交渉に関する制度変更を確認した。(3)については、2000年代における都市政策への国からの介入の実態を扱った議論を整理した。以上の内容を踏まえ、本年度は、地方制度改革と地方公務員制度改正に関する論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、主にフランスにおける2000年代以降の大都市圏での自治体上級幹部職の就任状況について、検討している。また、研究開始当初から、地方公務員による自治他幹部職就任事例の背景を探るべく、大都市制度の展開を追っており、都市政策の事例研究としてボルドー(bordeaux)市の地域開発事業を調査している。以上の検討を踏まえ、令和3年度は先述のとおり、文献調査を進めるとともに、現地研究者の協力を得ながら、自治体アンケート調査を実施した。しかしながら、昨年度に引き続き、令和3年度も現地調査を行うことができなかったため、当初の計画通りには研究は進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度同様、令和4年度も、文献調査を踏まえた分析枠組みを整理するとともに、論文の公刊を行う。また現地調査の実現可能性が高い今年度は、調査で予定している質問内容の精緻化を図るとともに、現地研究者との連携を継続して行いながら、研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
covid-19といった「自然災害によるもの(感染症の流行等も含む)」及びcovid-19の影響により「渡航先の外国機関との再調整が必要となったもの」といった理由から、当初の計画から変更を余儀なくされている。令和4年度は、引き続き、文献調査を進めるとともに、延期となっている現地調査を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)