2020 Fiscal Year Annual Research Report
How North Korea approaches the collapse of and the changes in other authoritarian regimes?
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18K01443
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
礒崎 敦仁 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 准教授 (40453534)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 北朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、北朝鮮が、他の権威主義体制における崩壊や変容からいかなる教訓を得て自らの体制永続化に役立ててきたか、を検証した。特に、①ソ連におけるスターリン批判と中国における林彪事件から教訓を得た「社会主義体制初の世襲」、② 中国における第2次天安門事件とルーマニアにおけるチャウシェスク大統領夫妻の殺害から教訓を得た「『先軍政治』の確立」、③リビアのカダフィ体制が核開発計画を放棄したことによって体制崩壊したとの認識に基づき、核保有を体制護持の装置に据えた「『並進路線』の提示」について重点的に解明を試みた。 ①社会主義体制初の世襲については、日本比較政治学会での報告を経て論文を公刊した。北朝鮮は、金日成の後継者が子息である金正日になったことに対して独自の論理構築を図ったが、その背景にはソ連におけるスターリン批判があったことを明記している一方、中国における林彪事件については直接的な表現を避けてきた。 ②先軍政治の確立、③「並進路線」の提示については、北朝鮮の核兵器開発と先軍政治に関する論文などを公刊した。金正日政権で提唱された先軍政治の理念は、金正恩政権下の「並進路線」でも生かされ、「並進路線」の看板が下ろされた後も、事実上その路線は継続されている。 研究全体としては概ね順調に進めることができたものの、最終年度に予定していた複数の国内外出張は、感染症問題のためいずれもキャンセルせざるを得なかった。
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