2019 Fiscal Year Research-status Report
リベラルな排外主義の理論的実証的研究:フランスにおけるムスリムの排除と抵抗
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18K01449
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
浪岡 新太郎 明治学院大学, 国際学部, 教授 (40398912)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フランス / イスラーム / 共和国 / 排外主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は比較のための理論的基盤の構築と研究課題である教育分野における排外主義をめぐるフランスの政策研究を進めた。まず、リベラルな排外主義の理論的実証的研究における比較の観点を重視して、カナダ、アジア諸国における排外主義の言説がどのように人権をはじめとするリベラルな諸原則と結びついているのかを検討した。また、その研究成果をフランスの排外主義の研究者に紹介し、国際研究の基盤を構成した。その結果、1)ムスリムが主たる排外主義の対象となっている国であるかいなかを問わず、ムスリムは常に周縁化される傾向があること、2)すべての国においてこの排外主義はリベラルな諸原則を根拠としていたこと、3)ただしその具体的な制度に応じて排外主義の言説は変容することがわかった。そして、教育分野における排外主義については、特に2000年代からのライシテ原則が、教育の場においてどのように「子供の信仰の自由を保障する原則」から「子供の信仰を抑圧する原則」へと変容したのかを検討した。その結果、1)変容についての多くの研究は、変容の確認にとどまっており、変容の過程を研究するためには「社会問題の政治社会学」などの研究アプローチが必要であること、2)フランスの反差別政策は欧州連合の指令の国内法化によって基礎付けられており、従って、フランスの排外主義の言説の変容は欧州連合における人権規定などリベラルな諸原則との相互作用の中で検討する必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3月には現地調査を行う予定であったが、コロナウィルスの影響で、予定通りの調査を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルスの影響によって、現在、そもそもフランスへの入国ができない。さらにこの状況は長期化する可能性がある。そのために、文献調査を進めると同時に、インフォーマントとはメイルでの連絡を行う。ただし、調査期間の延長も考えている。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響で予定した調査を実施することができなかったため。
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Research Products
(2 results)