2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K01455
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
永田 尚三 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (40286216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 真一 常磐大学, 総合政策学部, 教授 (30326813)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国民保護 / 文民保護 / 危機管理 / オールハザード |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツ及びイギリスにおいて、国民保護の文献調査及び文民保護組織の現地調査を実施した。また、その研究成果(海外における危機管理体制や国民保護体制の現状)について日本公共政策学会及び自治体危機管理学会でセッションを企画し報告を行った。またこれら学会報告に際しては予稿を執筆した。 わが国の市町村に対し、危機管理担当部局に国民保護に精通した職員(例えば自衛隊や警察からの出向組)がどの程度在籍しているか、またどのような研修等を受けているかの郵送アンケート調査を実施した。 海外との比較において、わが国では国民保護に対応した共助組織(文民保護)が存在しないこと、また国民保護行政を担う人材の教育体制が不十分であることが明らかになった。近年、わが国の地方公共団体は、国民保護をはじめとした危機管理に精通した人材不足を補う目的で、自衛隊、警察、消防からの出向やOB採用を行っているが、これら組織からの人材の国民保護に対する研修も不十分であることが本研究から明らかになった。これら文民保護組織の欠如と教育体制の不備が、わが国の国民保護体制が実効性を欠く大きな要因の一つとなっている。 2019年度は、海外の調査を引き続き実施する。特に2018年度の海外調査で、ヨーロッパ諸国において文民保護体制が整備されている要因の一つにEUの存在が見えてきた。EUが各国に国民保護体制の整備や危機管理の教育機関の整備を求めているので、ヨーロッパ諸国の国民保護の整備が進んでいる側面がある。この辺りの調査もベルギーのEU本部の方に行って出来ればと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(初年度に)海外調査の一部及び国内市町村に対する国民保護体制のアンケート調査を実施できた。これは、おおむね予定通りの進行状況だと考えている。 また初年度から研究成果に関し、2度学会報告も行った。関係論文も2本執筆した。当初の計画よりも成果物に関しては、早いスピードで公表出来ている。 総合的に見て、計画通りの進行といえると思う。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、海外における国民保護行政の先行事例について明らかにすると共に、国内の先行事例の調査や防衛大学の研究者との研究会、海外の研究者との研究会等を実施し、研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
2018年度は、ドイツで在外研究中であったため、予定通りの予算執行は出来なかった。 2019年度は、在外研究中に出来なかった国内調査(インタビュー調査及びアンケート調査)及び、ドイツ連邦内務省の調査、過疎化が進んだ旧東ドイツ地域の危機管理体制の調査、フィンランドの危機管理体制の調査、ベルギーEU本部の危機管理体制の調査を実施したい。
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