2023 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative study of complementary systems of expertise in the administration of national protection
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18K01455
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
永田 尚三 関西大学, 社会安全学部, 教授 (40286216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 真一 常磐大学, 総合政策学部, 教授 (30326813)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 危機管理 / 国民保護 / オールハザードアプローチ / 文民保護 / 危機時の中央地方関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナの感染拡大と、本研究期間が完全に重なってしまったことで、予定していた海外における現地調査等が出来ず、大幅な期限延長をせざるを得なかったが、新型コロナの感染拡大という正に本研究課題が危惧していた特殊災害が発生したことにより、より具体的な知見を明らかにできた側面もあった。 特に、今回の新型コロナでは、長期化する危機の中で行政における人的資源不足が発生し、危機事態対応や平常業務の事業継続性において支障が生じた側面があるが、不確実性が非常に高い状況下では行政組織間の各種資源のやり取りにおいて、貸し渋り等の問題が発生することを明らかにできた点は大きいと考えている。これらの危機時の行政組織間の調整の困難性を改善する側面からは、調整役としての国の権限強化が必要であると思われる。この本研究の研究成果の論文で提示した問題意識は、その後地方制度調査会の議論や2024年5月の国会における地方自治法の改正議論にも繋がった(研究代表者は、地方自治法改正に関し衆院総務委員会に参考人招致)。 また海外のコロナ対応の研究調査からは、それらの行政の資源不足を補うため、文民保護組織等の各種共助組織が資源の供給源となっていた側面を明らかにできた。欧州各国においては、ワクチン接種では民間レスキュー等のNGO、NPOといった救急医療系の活動をしている共助組織が人的資源を提供する等の態勢が予め先取りで構築されていた点は、今後わが国においても参考にしていくべき点ではないかと思われる。
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