2020 Fiscal Year Research-status Report
「クーデタ後」の政軍関係の比較政治史的研究-イベリア両国を事例として-
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18K01456
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
武藤 祥 関西学院大学, 法学部, 教授 (40508363)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 権威主義体制 / 政軍関係 / イベリア半島政治史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年3月から、研究代表者が滞在しているスペインで新型コロナウィルスの感染が拡大したため、本研究課題の遂行に非常に深刻な影響があった。そのような制約の中、6月にはアビラの軍史料館分館、9月にはポルトガル・リスボンのトーレ・ド・トンボ史料館などで本研究課題にかかる史料調査を行った。前者においては、スペイン内戦勃発直前における軍内部の動向や、フランコ体制初期の重要な政治的局面(1947年の「国家首長継承法」に際しての国民投票など)における軍の対応を解明する史料を、また後者においてはポルトガルにおける軍事独裁(1926-32年)からサラザールを中心とした独裁への移行期に関する史料を渉猟・収集することができた。だが、やはり史料調査という観点においては、当初の予定に照らすと2020年度の成果は十分ではなかった。 そのため、次善策として、スペイン・ポルトガル政治史における政軍関係および、政軍関係の理論に関する二次文献の渉猟を進めた。6月にオンラインにて開催された日本比較政治学会の分科会「民主政治の存続と文民統制の比較政治学」において行った報告「民政移管の態様と文民統制との関係-スペイン・ポルトガルの事例から」は、本年度の主たる成果である。この報告は、本研究課題が対象とする時代(スペイン・ポルトガルにおける独裁体制期)より後における政軍関係を主に扱ったが、同時に独裁体制下における政軍関係に関する理論的・実証的検討も含んだものである。この分科会における他の報告者や、討論者の方との議論を通じて、今後の研究に関する有益な示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究業績の概要」において述べた通り、2020年度は新型コロナウィルスの感染拡大により、在外研究というメリットを活かして史料調査を進めるという計画は大幅に修正せざるを得なかった。また、スペインにおける学会・研究会などもほとんどが中止・延期となったため、現地研究者との交流も難しい状況であった。 また、大学図書館などへのアクセスも万全ではなかったため、二次文献の渉猟も私蔵の文献や、新たに出版された文献、さらにインターネットを通じて入手できるものに限られた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も、新型コロナウィルスの影響が継続することが予想される。研究代表者は2021年9月までスペインに滞在予定であるが、状況が改善次第、アビラおよびリスボンでの史料調査を再開したい。また、同じく状況次第であるが、日本に帰国後も、2022年春に調査のためにスペイン・ポルトガルを再訪することも検討する。 2021年度は、当初の研究計画を1年間延長した上での最終年度であり、研究成果をまとめ、論文の形で発表することを目標とする。ただし、新型コロナウィルスの状況によっては、史料調査を十分に行えない可能性もある。その場合は、二次文献の渉猟に基づき、かつ理論的検討の比重を高めた論文を執筆することも視野に入れたい(もちろん、その場合でもこれまで収集した一次史料は最大限活用する)。
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Causes of Carryover |
2020年度は、スペインおよびポルトガルにおいて史料調査を複数回実施する予定であったが、新型コロナウィルスの影響のため、それぞれ1度ずつしか行えなかった。そのため特に旅費として計上した費用において、次年度への繰越額が多くなった。 2021年度は、新型コロナウィルスの状況に応じてではあるが、2020年度に行えなかった史料調査を複数回実施し、研究計画に即した形で使用していきたい。
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Remarks |
2021年3月12日に報告を行った国際セミナーの案内ページ。
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