2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of changes of government in Japanese local politics
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18K01457
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
平野 淳一 甲南大学, 法学部, 准教授 (10550949)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地方政治論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は市長選挙結果に関するデータ作成を継続するとともに、現職退任後に行われる新人同士の市長選挙における対立構図に注目した分析を行った。その結果、全体のおよそ6割に当たる現職市長が、立候補した新人候補者のいずれかを自身の後継候補者として指名・応援していることが明らかになった。また、現職市長の介入が見られた新人同士の市長選挙のうち、後継候補者が当選したケースが約66%、落選したケースが約34%に上ることも分かった。このように、多くの市において現職市長が自らの後任を選ぶ市長選挙で後継候補の支援を行っており、多くの現職市長が市長ポストの継承に成功する一方で、後継候補が敗れて継承に失敗するケースも一定数見られることが分かった。前者を市政の「継承」、後者を市政の「転換」とした場合、両者で当選した新人候補者の前職に違いが見られることも分かった。「継承」の場合は副市長が最も多く、「転換」の場合は都道府県議、市議が上位となっている。しかし、「継承」の場合、副市長や市職員出身者が全体の約40%を占めているものの、都道府県会議員、市議会議員合わせて約36%に上っており、市役所職員以外の地方政治家が後継市長となっていることも明らかになった。この他に、国会議員による市長選挙への介入があったと考えられる事例の検討から、現職市長からの後継指名の有無およびそれが最終的に実現されるか否かが、地域における権力構造の安定性をある程度表している可能性があることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大によりオンライン授業への対応等、研究以外の業務負担が増加した。申請者は所属学部の教務関係の副責任者(2021年度は責任者)を務めていたことから、オンライン授業に向けた研究以外の業務負担が特に重かった。そのため、本研究課題の遂行に割り当てる研究時間を十分に確保することができず、進捗は遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究についてだが、現職退任後の市長選挙において現職市長の介入があったか否かが不明な事例があることから、地方紙を用いた調査によってこれらの事例における現職市長の介入の有無について明らかにしていきたい。また、これまでの研究で明らかになった現職市長による後継候補の指名・応援について、それがどのような時に行われるのかについて、理論的な整理を行った上で分析を行う予定である。上記に加えて、現職市長を破って新たに市長となった者が、どのようにして支持基盤の形成を行っていくかについても分析を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、データ入力のアルバイトの雇い入れが出来なかったため、次年度使用額が生じた。感染状況が落ち着いた後、アルバイトの雇い入れを行いたい。
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