2018 Fiscal Year Research-status Report
Learning How to Do Anticipatory Governance: the Case of Management Strategy Evaluation in ICCAT
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18K01459
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 敦 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (30391064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 彩子 東海大学, 海洋学部, 准教授 (40466868)
眞田 康弘 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 客員主任研究員(研究院客員准教授) (70572684)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 先見的ガバナンス / 管理戦略評価 / 要因分析 / 国際漁業資源ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年11月に開催された大西洋まぐろ類保存国際委員会の締約国会議の参与観察を行った。その結果、各締約国は、管理戦略評価に関する交渉ポジションをまだあまり見定めていないことが判明した。その中でも熱心なのがカナダである。カナダはEUとともに、管理戦略評価の目的に関する枠組みの提案を行った。具体的には、資源状態、リスク回避(安全性)、漁獲量最大化、安定性(漁獲枠の年変動率の抑制)の4つを柱とした管理目的である。これらは基本的に、過去の管理戦略評価のやり方と同様の目的であり、過去の事例から学んでいることを示すものである。さらに具体的な数値に関しては交渉に委ねるとしている。日本の漁業団体は、科学的不確実性を理由にした不当な過小漁獲枠にならなければよい、というような是々非々のポジションのようである。環境NGOは総じて賛成であり、ロビーイングを行うだけでなく、上記のように、複雑で非常に理解しにくい管理戦略評価の解説や、技術的な助言を行っている現場を観察することができた。また、インタビューを行わなければならないアクター(科学委員会議長のDavid Die氏、EUROPECHE、カナダの漁業担当官など)を同定することができた。国際学会における先見的ガバナンスの研究に関する知見も得たが、先見的ガバナンスに関する誤解、すなわち、先見性だけをもって先見的ガバナンスとしている場合などが散見された。併せて、関連一次資料、二次資料の読み込みを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)におけるクロマグロの管理戦略評価(MSE)を、先見的ガバナンスのケースとして扱う予定である。そのためには、MSEがICCATで採択される必要であり、それは昨年度になされる予定であった。しかし、締約国会議での交渉では、採択までには至らなかったため、進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている要因は、国際交渉に起因するため、促進策はない。しかし、採択が再来年にまで遅れるようであれば、別のケースを見つけるなどの対策を練らなければならない。今年度にMSEが採択された場合に備えて、インタビューや一次資料を読んで置くことは言うまでもない。
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Causes of Carryover |
国際交渉の遅れにより生じたものである。繰越分は次年度の国際交渉の参与観察に充当するものとする。
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