2020 Fiscal Year Research-status Report
Learning How to Do Anticipatory Governance: the Case of Management Strategy Evaluation in ICCAT
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18K01459
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 敦 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (30391064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 彩子 東海大学, 海洋学部, 准教授 (40466868)
眞田 康弘 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 客員主任研究員(研究院客員准教授) (70572684)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 先見的ガバナンス / 管理戦略評価 / 要因分析 / 国際漁業資源ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナの影響で国際交渉での議論が1年延期されたことにより、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の締約国会議の参与観察を行うことができなかった。代わりに、オンラインで行われた期間間会合に行われた議論について、一次資料を読み込んだ。そこで判明したことは、まず、科学者と締約国の間で、コミュニケーションのあり方に関する認識の齟齬が観察できた。具体的には、科学者側は管理方式の開発がある程度進んでからさらに対話をすすめるのがよいという認識を持っているのに対し、締約国側はもっと管理方式の進展を待たずとも対話を進めるべきであるという立場である。大西洋クロマグロは単一ではなく2つの系統群があること、さらにそれらの系統群が混ざり合うため、管理方式はかなり複雑になる。ノルウェーはそのことに言及しているため、管理方式に関する知識を有していることが観察された。また、カナダはさらに踏み込み、大西洋クロマグロの管理方式の開発は従来の単一系統群管理ではなく、混ざり合う複数系統群の資源管理を行うパラダイムシフトが必要であることから、対話は非常に重要であることを強調した。 この他に、管理方式の採否の鍵を握る日本の漁業外交についての査読付き論文を掲載した。日本では、漁業に関する研究者は政策決定に関する意見などを言わないこと、規制の虜が非常に強いこと、などが明らかになった。これは、日本が管理方式について、どのような交渉ポジションを取るのかは、水産業界に意向によるところが非常に大きいことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)におけるクロマグロの管理戦略評価(MSE)を、先見的ガバナンスのケースとして扱う予定である。そのた めには、MSEがICCATで採択される必要であり、それは昨年度になされる予定であった。しかし、新型コロナ感染症により、締約国会議自体が延期されたため、MSEは採択されず、インタビューなども行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている要因は、国際交渉や新型コロナ感染症に起因するため、促進策はない。2021年度は少なくともオンラインで締約国会議が開催される予定であるため、採択される管理方式に対応して、インタビューや一次資料を読んで準備する。
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Causes of Carryover |
国際交渉の延期と新型コロナ感染症により生じたものである。繰越分は次年度の国際交渉の参与観察に充当するものとする。
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Research Products
(1 results)